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Aqua−Vitaeってどういう意味?

1996年度 医王山中学校 3年1組 学級通信「Aqua−Vitae」
第5号(1996.4.9発行)

Aqua−Vitaeってどういう意味?

 という疑問にお答えしましょう。(簡単には5日に言ったけど‥)
 「Aqua−Vitae」とはラテン語で「命の水」という意味です。
 「Aqua」は「水」,「Vitae」は「命の」という形容詞です。ラテン語では形容詞は後ろにくっつきます。日本語でも英語でも,形容詞は名詞の前ですね。だから逆の順序です。
 「アクア」はよく聞くことがあるでしょう。
 例えば「アクアラング」は水中呼吸器です。ラテン語の「Aqua」(水)と英語の「Lung」(肺)をくっつけた言葉です。
 それから,商品名では(「アクアラング」ももとはと言えば商品名)歯磨きの「アクアフレッシュ」とか清涼飲料の「アクエリアスなんてのもあります。このように,「アクア」は水という意味です。
 「Vita」はラテン語で「生命」です。
 よく聞く言葉では「ビタミン」(Vitamin)というのがありますね。命を維持するのに欠くことのできない栄養素がビタミンです。
 で,「Aqua−Vitae」というのは「命の水」です。
 それだけじゃ,ちっともおもしろくないって?そうなんだな。
 実は「命の水」というのは「蒸留酒」を指します。しかも,特に「ウイスキー」を指します。
 以下,本の受け売り。
 錬金術とは,銅・鉄などの卑金属を金・銀などの貴金属に転換しようと試みた術です。紀元前後にエジプトのアレキサンドリアに発し,多くの科学者がこれに没頭しました。錬金術は,4世紀頃エジプトあたりでシステムをととのえ,アフリカ北部を西に広がり,中世初期にはスペインにまで伝わりました。もちろん銅や鉄が金なんかになったら苦労はしないわけですが,この錬金術の研究のおかげで,実は化学がおおいに発達したという面があります。例えば,硫酸,硝酸,王水などの発見がありました。
 さて,その伝播過程のどこかで,錬金術用のるつぼになんらかの発酵液を入れたところ,アルコール度数の強烈な液体が,偶然に得られました。それが,人類が蒸留酒というものを経験したそもそもの始まりですが,錬金術師はその酒をラテン語で「Aqua Vitae(命の水)」と呼び,不老長寿の秘薬として扱ったのでした。
 「酒は百薬の長」なんて,日本でも言うくらいだからね。
 やがて,この「命の水」の製法は,海を越えて,北方のアイルランドに伝わり,その地で飲まれていたビールを蒸留して,強烈な酒を生みました。土地の人は,生まれた酒「命の水」を自分たちのゲール語に直訳して「Uisge beatha」(ウイスゲ・バーア)と呼びました。これがウイスキーそのものの起源であり,かつウイスキーという名称の由来でもあると考えられています。
 ということで,「命の水」=ウイスキーでもあるのだけど,ま,この「命の水」という言い方が好きなんだな。
 「水は命」だからね。
 さあてと,学級通信を1枚書いたから,「命の水」のオンザロックでもつくって,ちょっと休憩しようかな。

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