医王山の概要

高さ

939.2m(奥医王山)

名称の由来

 717(養老元)年,白山を開いた泰澄大師が719(養老三)年,この山に登り,薬草が多いので唐の育王山にちなみ育王仙と名付けた。 しかし,722(養老六)年,当時の帝,元正天皇が大病にかかられたので,大師がこの山の薬草を献上したところ快癒された。 帝は大いに喜ばれ,泰澄に神融法師の称号を賜わり,山には医王山と命名されたという。
 また,一説には泰澄が聖武天皇の勅命により,疱瘡流行をとめようと祈祷したところ悪疫がなおった。 それは如何なる名医も及ばない,医の王であるというので医王山と名付けられたともいう。
 その他,遠くから眺めると形のよい峯がうねうねと連なっているから遥山(ようせん)とよばれたとも伝えられている。

特徴

 金沢市よりあまり遠くないうえに,山中の地形が極めて複雑で,傾斜は急でありしかも高い崖,深い谷,美しい滝,多くの奇岩があり,風趣に富むので,登山するものが多い。 古くは二俣から登るのを本道とし,一の木戸,地蔵峠を通ったが,近年はキゴ山の見上峠より多く登っている。 また,二俣から上部は奥地林道といって大池まで車で登るものもあり,あるいは田島より歩いて登るものもいる。
 地質よりみれば,この山は第三紀層とその中に噴出した石英粗面岩とをもって構成されている。
 医王山と名のつく山はなく,一つの山塊をさして医王山と呼んでいる。最高の医王山は奥医王(高さ939m)ともいわれており,その西の白兀山(高さ880m),北の黒瀑山(高さ712m)とともに一大山塊を形成している。

医王山(犀川から)
(金沢市内を流れる犀川,上菊橋あたりから見る医王山。中央緑の濃いのは戸室山。その右後ろ一段と高いのが奥医王山,左後ろは白兀山。写真提供:金沢市)

医王山の薬草

 薬草の種類は多い。
 その主なものとして,当婦,黄蓮,松藤,正香,女矢柄,宝草,木通,忍冬,夏枯草,乙切草,山婦来,木天蓼,唐薬,葛根,等がある。

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