金沢弁 横浜から金沢へ嫁に来たさっちゃんの話

 弟の配偶者のさっちゃんは横浜生まれの横浜育ち。
 初めて金沢に来たときは春。卯辰山(うたつやま→金沢城から見て卯辰(だいたい東南東)の方向にあるのでこう呼ばれた)に登り,田植えの終わった金沢平野を眼下にしたときに,一言「うわぁ,なんてきれいな芝生!!」というくらいの横浜ギャル。
 今でも,われわれが「すごいじー」というところは「すごいじゃん」,「そいでーねぇー」というところは「そいでさー」と,当たり前のように口から出るさっちゃんです。
 しかし,その彼女も今ではしっかり金沢のお母さんになっています。
 そこで,その彼女の金沢弁で意味が分からなかった言葉,どうも横浜とは意味が違って使われているという言葉の特集です。
 ちなみに,我が家は父は丹後の国(京都),母は加賀の国(石川),配偶者は越前の国(福井)祖母は石見の国(島根)と武蔵の国(埼玉),そしてさっちゃんは相模の国(神奈川)と,多国籍一家なので,もしかしたら,金沢弁じゃないかも知れないけど,うちでふつうに使われている言葉,そしてさっちゃんが「なんじゃこりゃ?」と思った言葉なので,あしからず。

雲 「だらぶち」って何?

 金沢弁にもかなりなれて「だら」といえば「バカ」のことね,とわかったある日聞いた「だらぶち」。
 これって何?
 ようやくわかったこの言葉,「だら」の強調形。「だら」が「バカ」なら「だらぶち」は「バカたれ」ってとこね。

雲「語尾がびよびよー」これが金沢弁だわ。

 なんと言っても,語尾がのびるというのか,あがるというのか,要するに「語尾がびよびよー」これが金沢弁よ。
 たとえば,「そんでぇーねぇ」とか「そーなげんてぇー」とか「しまっしまいねぇー」とか,書いてみるととっても変。このイントネーション,実際に聞いてみないとわからない。
 とにかく「びよびよ」これが金沢弁よ。

雲 「じゃまないけ?」と聞かれて,「この部屋には,特別にじゃまになるものはないんですけど……」

 金沢に遊びに来てうちに泊まったときのこと,部屋で「じゃまないけ?」(「大丈夫?」)と聞かれて,思わず部屋を見回してしまったとのこと。
 「じゃまない」は金沢では「大丈夫」。しかし「さまたげるもの」と共通語の意味で考えて,「別に自分にとって困るものはない」と思って答えたとのこと。
 言葉は共通語でも,意味が違うとこうなるんですね。

雲 「りくつなー」はほめ言葉なのね

 「理屈」といえばあの「へ理屈」のように,「理屈屋」とか「理屈っぽい」などと,ごちゃごちゃ言い立てる感じがあるけど,金沢弁で「りくつな」とは「うまいことできてる,かしこーい,じょうずー」って感じなのね。
 子どもにまで「りくつな子やねー」というくらい。
 発明工夫展で「あらー,りくつなー」という感嘆をあげるというのが,一番ぴったりかな。

雲 「かたい子」って「石頭の子」じゃないよね。

 「あら,かたい子やねー。」と聞いて,「えっ,かたい子って,まさか石のような子?骨が丈夫な子?石頭の子?違うよね!?」
 「かたい子」というのは,「よい子」「お行儀のいい子」こんな意味ですね。
 どうして「かたい」が「お行儀がいい」になるんでしょうね?

雲 「そんな,かさだかな。」そう言われたってね……

 「どうもありがとうございました。」(とわざわざお礼に来たら)
 「そんな,かさだかなー。わざわざいいわいね。」
 とこんな会話。
 (子どもがころんで)「痛いよー,痛いよー。」
 「そんな,かさだかなこと言わんと。」
 とこんな会話。
 要するに,「かさだか」とは「大げさな」という意味です。

雲 料理特集

 「しょむない」「しょもない」
 料理に失敗して,どうしようもない。違うんですね。「味が薄い」ということ。
 その他に「水くさい」っていうのも金沢に来て初めて聞いたそうです。
 この「水くさい」は『広辞苑』にも載ってるから,共通語といえるでしょうか。
 それから逆に「味が濃い」ときに「味がこい」とは言わないで「味がこいい」と「い」が一つ余分にあるんじゃないのと思ったそうです。
 金沢弁にはよくある話で,語尾がのびるのですよ。
 それとこの味の濃いのを「からい」と一くくりにして言ったりします。「塩辛い」というよりも「醤油がらい」というのを「からい」という風に言っている感じ。

雲 「いさどい」もう少し強調して「いっさどぉい」

 「いさどい」とは「自慢らしい」「態度が大きい」「えらそーな」そんな意味です。
 あまりほめ言葉ではありませんね。
 初めて聞いたときには,ちっとも意味がわからなかったそうです。

雲 「はえちょぼ」って何なのよ?

 「はえちょぼ」って「ハエ」のこと?もしかして,これって,弟(つまりさっちゃんの配偶者)の造語?
 よくわからないけど,うちだけで通じたりして?
 それから,凍りついてるようすが「かんかちこ」
 これもうちでだけ通用するの?

雲 語尾がよくわからなかった金沢弁。でも,その地域のことばってあたたかい。

 最初は金沢弁はちっともわからなかった。
 金沢弁だけじゃないけど,日本語って語尾で否定文になったり,疑問文になったりする。
 その語尾が,何を意味するのか最初はちっともわからなかったそうです。
 「〜け?」「〜が?」とか「〜じ」とか「〜まっし」とかとにかく語尾がわからないと通じない日本語のその語尾がわからないから,大変だった。
 でも,方言はやわらかいというか,あたたかい。
 食べ物屋で共通語じゃなく,方言で注文しているのをきいて,もしかして知り合いなの?と思ったそう。
 初めて来て店員と話をしたとは思えない感じに聞こえた。
 これが共通語なら,他人行儀というか,冷たい感じがしたでしょうね,とのこと。
 やっぱり方言というのもいいものね,というのがさっちゃんの感想でした。

田舎の雰囲気の仕切り線