テレビは見てはいけない

 最近テレビを見るようになった。BSである。良質な番組が放映されている。主に見るのは旅,鉄道,自然,歴史といった分野である。静かな語りと音楽にのせて,きれいな画像が流れる。夜遅くごはんを食べながら(というよりも家呑みをしながら)BGMのようにしてついていて,時には番組を無視して会話もできる。何よりも目ざわりな芸人が登場しない。
 ところで,このテレビに関して,今年度に読んだ本の中から2冊を紹介しよう。
 1冊目は『テレビは見てはいけない』(苫米地英人著・PHP新書)。2冊目は『テレビの大罪』(和田秀樹著・新潮新書)である。
 1冊目の内容紹介は「日本人はなぜテレビに洗脳されるのか。CMに映し出される魅力的な商品,(中略)有名店の豪華な料理…それらはホントにあなたがほしいモノですか?幸福な生き方ですか?……」。
 2冊目の内容紹介は「あなたはテレビに殺される。運よく命まで奪われなくとも,見れば見るほど心身の健康と知性が損なわれること間違いなし。……」。
 あとは読んでのお楽しみ。
 1957年に社会評論家の大宅壮一がテレビを指して「一億総白痴化」と言ったが,はたして今の日本人はどうだろうか。いや,今ではテレビ以外にもディスプレイに映し出される多くの情報,インターネットもケータイもメールもビデオもゲームも,すべてが人々に大きな影響を与えている。「テレビは見てはいけない」どころじゃないような気がするが……
 すべてのことに,主体的,批判的な判断が求められる時代である。
 さてと,今夜も家呑みをしながら,BSの番組表をちょっと調べてみますか。今夜は何が面白いかな…そうだった,今夜は俳人の吉田類の「酒場放浪記」だ。「酒場という聖地へ,酒を求め,肴を求めさまよう……。」そして,彼の最後の一句がいつも面白い。
 じゃ,しばし,彼につきあうか……

(城南中学校 学校文集「十字星」 2011年3月)

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