座席はスクリーンの真ん前。まあ,前に人がいなくて気楽だが,しかし喫煙席なので,あちこちから煙草の煙がやってくる。臭いよ!これも英国航空のせいだぁ!
左前にヤンキー兄ちゃんが座っていた。何人かの団体であり,バンドらしい。
しかし,彼らが終始うるさい。乗るとすぐバーサービスでお酒が出るが,彼らは飲み続けに飲んでいる。(機内ではリクエストすればいくらでもくれるのだ。)おまけに時々素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げる。そしてパーサーに注意されている。あげくのはてにはドラムスの兄ちゃんらしく,体を揺すってドラムをたたくまねを始める。座席をがたがたゆらす。はたで見ていると,思わず笑えてくる脳天気なヤンキー兄ちゃんだが,後ろの人はたまったものではない。本当,どこの国にも人の迷惑かえりみない人間はいるものである。
さて,毎度おなじみ,乗るとすぐに食事が出る。まずは夕食というところである。
メニューはというと,
ギリシャ風サラダ
ターキーのカツレツ
シェルパスタを添えて
フルーツサバランとラズベリーソース
コーヒーとチョコレート
といったところである。
目の前で映画をやっているのだが,そんなもの見るゆとりもなく眠くなる。いやあ,つらいかっこうでよく寝た,よく寝た。
ロンドンの時刻では夜である。しかしこれからが困ったものなのだ。飛行時間は12時間弱。ロンドンの時刻で言えば,明け方の4時過ぎに着く。
であるからよく寝ておけば,次の日の活動がなんとかできる時間である。しかし,成田に着くのが12時過ぎ。
日本では8時間も時間が先に行っている。これがまた,何とも変である。飛行機は地球の回る方向へ飛んでいる。12時間飛ぶのだが,宇宙空間から見ていると,この飛行機20時間分の距離を移動しているのである。
つまり一生懸命地球が回る方向を追いかけて飛んでいるので,宇宙から見ると,なかなか日本には着かないように見える。逆に言うと,宇宙から見ると,この飛行機,20時間分を12時間で飛ぶのですごい速さで飛んでいるように見える。
いったい何を言っているのだろうか。自分でもよく分からない。絵を描いてみても分からない。しかしともかく言えることは,この飛行機に乗っていると,夜が短いということである。太陽の昇る方向へ飛んでいるのだから。
さて,着陸の2時間前には朝食が出る。しかし,ロンドンの時刻で言えば午前2時頃である。本来なら熟睡していた時刻に朝食というのも困ったものである。メニューは
オレンジジュース
マンゴーフルーツの前菜
スクランブルエッグ,ベーコン,
ビーフソーセージ,
マッシュルームとトマトのグリル
ハーブポテト
デニッシュペストリー,ロールパン
バターとジャムを添えて
コーヒー
おお,何だカタカナばっかりではないか。いい加減漢字とひらかなで書けるもの食べたいよ。
もうすぐ日本に着くというのに,即寝てしまう。
さていよいよ成田に着く。
飛行機の窓から見えるのは,見慣れた日本の農村風景である。
日本時間12時15分である。ロンドン時間午前4時15分。
まだ寝ているはずなのに,お昼となっている。ここから時差ボケが始まる。
税関を抜けるとそこは日本である。残っていたポンドの紙幣を日本円に替える。
そして,リムジンバスで羽田に向かう。またもやバスの中で眠る。知らないうちに羽田に着く。
羽田空港もだいぶ改装したようで,きれいになっている。小松行きの便まで時間があるので,ラーメンを食べて,生ビールを飲む。久しぶりにラーメンなんてものを食べる。やっぱり食生活というのは身に染みついたものがある。ラーメンがうまいよー。特に好き嫌いなく欧州でなんでも食べてきたが,やはり食べ慣れたものがいい。
しかし,羽田でえらく暇である。おみやげなんて買うものないし,本当なら,ヒースロー空港でこんなに暇があるはずだったのに!英国航空のせいだぁ!
などといっているうちに,出発時刻が迫る。17時のJAS265便で小松に向かう。
もう外は暗い。しかし,空の便も渋滞である。滑走路に出ても,まだ前に5機くらい順番待ちをしている。
飛び立つと東京の夜景が見えた。そして富士山の頭が見えた。温かいスープが出る。なかなかうまい。と思っているうちにまた眠る。
18時小松着。教育委員会の方々が多数お迎えである。
解散式である。石原氏はやはり挨拶が上手である。
うちからも迎えに来ている。これでようやく12日間の旅も終わる。本当にいろいろなことがあった。いろいろな経験をした。やっぱりいろいろな国に行ってみるものである。
この後研修の報告を書くことになる。
12月2日締め切り。自分に与えられたテーマは「3カ国と日本の中等教育を比較して」であった。
ちなみに,撮影した普通の写真は100枚あまり,報告用のスライドは280枚あまりであった。
それでは最後に,報告書の中から,一人一言の部分を抜粋して,この欧州旅行記を終わりとしよう。
とにかく挑戦してみようという気持ちで今回の研修に応募した。現地では,なんとかコミュニケーションをしようと思って英語をしゃべってみた。何でもいいから見てやろうと思って街に飛び出した。
何事にも挑戦する心を忘れずに,貴重な12日間を過ごした。何事も自分から動かなければ変わらない,しゃべらなければ伝わらない,そんな当たり前のことを確認した。
そして,挑戦する心は欧州の人々にも感じた。
欧州では個人主義のお国柄か,個人が動き,責任を明確にし,そしてお互いを尊重し,連帯する,そういう人々の生き方が感じられた。さらに,自分の実現したいことに向かっては,一人一人が積極的に何事にも挑戦し,問題を解決していこうという姿勢がみられた。
自分も考えさせられることが多い今回の旅であった。