座談会 この一年を振り返る

 一年一組 学級通信
 ヴィザージュ 特別編集号

★★座談会 この一年を振り返る ★★
由美子=どうしてこんなところで座談会せんなんが。やめてほしいわ。
幸子=おいね、むっかつく。
圭子=ほうや。(と隣の覚をたたく。)
=いてーなー。この××女!
圭子=あんたがぼけっとしとるからやろ。
洋介=ちゃんと集中せんからや、ご××ん(おっと、放送禁止用語だ!)
=ようすけ、ころす。(ワンパターン)
 (しかし、相変わらずみんなことばづかいが悪いね。)
恵美=ちょっとみんな、早く座談会してしまおうよ。遅くなるだけやよ。
亜希子=そうや。ことし一年を振り返るやろ。みんな何かない?
香織=どうせやからみんな順番に言おう。
哲治=医王山で言おう、なーんちゃって。
一同=……(いきなりしらける)
陽子=出席順に言ったらいいんじゃない。
勇三=ほんならっと、まあこの一年勉強が足りんかったということかな。
尚臣=おんなじや。もうちょっとなー。
=集中力が足りんかった。先生には拡散男と言われたしな。
洋介=わしは、バドミントンはがんばったし、やっぱ勉強かな。
哲治=怪我しちゃったしなー、バドあんまできんかったし、夏休みの宿題出すの遅かったし、でも、冬休みの宿題は始業式の日に出したぞー。
俊介=やっぱ、提出物の提出が悪かった。
哲治=冬休みの宿題全部出したんか?
俊介=……
将之=ポンキッキ見ながら、アイス食べるなよー……えっと、話もどすと、この一年は怪我せんかったし、ま、あと勉強をもう少しってとこかな。
由美子=やっぱり勉強のことかな。
和代=プリティ和代としてはですね、前期は副会長もしたし、いろいろやったけど、ちょっと健康面がね……。
陽子=私も足の怪我、これがこの一年の重大事件やね。まあ、わけのわからん噂もあったけど……
香織=部活と勉強の両立が難しかったわ。
圭子=もうバッチグーやわいね。
 なんやー(と、また覚をたたく)
幸子=私も健康に気をつけたいなあって思った。
亜希子=やっぱり、勉強が難しくなったし、がんばらんなん。
ふみ=一年間楽しかった。うふ…二年生になってもがんばりたいなあって思う。
恵美=私は、何と言ってもですね、担任にいじめられながらも副会長をやった。ほーんと、意地悪ねんよ。
和代=うーん、わかる、わかる。
勇三=ところで、先生登場しんじ?
亜希子=職員室で、コーヒー飲んどるんじゃない。それともコンピュータ?
尚臣=コーヒーの飲んだ数で桜井先生、青木先生とはりあっとるしな。
恵美=もう少し時間あるし、何か今年一年で思い出に残ったこととか出して。
洋介=楽しかったことじゃないけど、やっぱハゲにするのいややったぞいね。
将之=女はいいよなー。
陽子=夏のキャンプもよかったけど、秋の高山おもしろかったと思わん?
由美子=和さんの怪談、いつ聞いてもおもしろいね。やっぱ夜がおもしろい。
勇三=授業では、数学わっからんぞいね。
哲治=文化祭終わったら、いきなり数学ばかりになりましたからねえ。
 (噂をすればなんとやら、戸が開く)
功一=それじゃみんな座談会ご苦労さん。あと数行で座談会、終わりやね。
一同=何のための座談会?ぎゃー!がやがや……フンギャース
功一=ふふっ、人に任せて文句言うなよ。
一同=何言っとるがー?えー?こんで終わり?ぎゃー!ぴぃー!ポカッ!

 ★★★ 編集後記 ★★★
 何をかくそう、泣く子も黙る鬼の平三とはおいらのことよ、いや、私が担任の坂根である。
 いきなりであるが、一年生のページの最後の一ページを担当することになったのは、私である。エヘン。
 それは、忘れもしない、あの学級会の時間であった。いつも日曜日の予定まで聞きに来る、我がクラスの副会長が、司会をしていた学級会である。二・三ページを、各自の担当で思い出を書くということまで決まったあと、四ページ目をどうするかという話し合いになった。すると、である。いつもの安易で、おちゃらけをしている、我がクラスのかわいい××君が提案をした。
「先生に任せましょう。」
と。それをあの副会長が、あっという間に採決をとってしまったのである。もちろん賛成絶対多数である。
「先生書くこと好きやがいね。」
とか何とか言いながら、みんなはこの決定を祝福してくれたのである。おお、ありがたや。そのとき担任はあまりの素晴らしさに感動し、夕日に向かって青春してしまったのである。
「おお!これが友情か、これが民主主義か!」
と。そして
「民主主義とは多数の横暴である。」
と悟り、
「友情なんて、もろいものよ。」
と捨て台詞を残して修行の旅へと出たのである。
 「おお!めざせ!自主自律!」

(医王山中学校 学校文集「しゃくなげ」学級のページ 1992年3月)

天性人語のメニューへ 天性人語のメニューページ
トップページにもどる Prince Kochan's Productionのトップページ