小学生の頃読んだ最もおもしろかった本といえば「厳窟王」(がんくつおう)である。
原作はデュマ、十九世紀のフランスの作家である。原題は「モンテクリスト伯」といい、かなりの長編だが、親に買ってもらったのは子ども向けの文学全集だった。
あの頃は何度読み返したことだろう。裏切り者の友だちのために、恐ろしい地下牢で十四年間苦しんだ主人公のダンテスがいったいこの後どうなるのだろうかと、ドキドキはらはらしながら読みすすめたものだ。
この小説の最後は次の言葉でしめくくられている。
『待て、そして希望せよ。』
(鳴和中学校 広報「なるわ」 2001年5月)