金沢弁 「金沢なまり」と「加賀ばやし」
−おまけにちょこっと「金沢名物」−

芸妓  問い合わせのあったおたよりの中に,盆踊りのときに金沢弁の歌があったのだけど,あれはいったいなんでしょう,歌詞はどんな歌詞なのでしょう,というものがありました。
 これに関していろいろと調べたところ,次のようなことがわかりました。

・金沢の茶屋街で「金沢なまり」という歌が歌われている。
 これは古くから伝わる歌で,作詞,作曲者は不詳。
 茶屋街で歌詞がちがっている。
 にし茶屋街ひがし茶屋街でそれを録音したCDがある。
芸妓  ちなみにそれぞれ
 「金沢 にし 芸どころ」(日本コロムビア 発売 GES−10595−CP)
 「金沢 ひがし お座敷太鼓」(日本ビクター 発売 PRCD−5139)
 いずれも三味線,太鼓の音にのせて,お座敷で金沢弁の紹介を兼ねて歌われるものらしい。
・「金沢なまり」の歌詞を元歌とした「加賀ばやし」という歌がある。
 作詞・梅木勝吉  作曲・飯田景応
 盆踊りで使われるものはこちらの「加賀ばやし」である。
 ちなみに,「金沢 ひがし お座敷太鼓」にはこの曲が収録されており,もちろん三味線,太鼓の演奏で,お座敷で歌われるものを録音したものである。
 また,盆踊り用としてこの曲をふくめ計4曲を収録した「金沢百万石音頭」というCDも発売されている。

 以上のようなことですね。
(お茶屋の写真は金沢市提供)

 では,「にし」と「ひがし」でちがう「金沢なまり」の歌詞の掲載と歌詞の解説をしてみましょう。

金沢なまり
 (にし茶屋街 版)

 金沢なまりは にゃーにゃ行ってらっし
 行ってこやいに おゆるっしゅ
 そうけそうけでございみす
 あんやとあんやとヤァーヤ
 ついでにおばばに おゆるっしゅ
 もひとつおまけにへいろくな
 べやさ風呂行くまさんか さそうまさんか

 金沢名物 友禅 兼六園に
 つるべとられた加賀の千代
 そうけそうけでございみす
 西のお茶屋でヤァーヤ
 ついでに犀川 浅野川
 もひとつおまけにかぶら寿し
 おあんさん香林坊へ 行くまはんか
・にゃーにゃ→娘さん,奥さん
・行ってらっし→行ってらっしゃい
・おゆるっしゅ→よろしく
・そうけ→そうですか  ございみす→ございます
・あんやと→ありがとう
・へいろくな→こっけいな
・べやさ→お手伝いさん
・まさんか→ませんか ということで「行くまさんか」だと「いきませんか」ということですね。
・金沢名物というとたくさんありますね。それが2題目(おっとこれも金沢弁,2番目)に出てきます。
・友禅というと京都だけではなく金沢の加賀友禅も有名です。
・兼六園は日本三名園のひとつ。新緑も,紅葉も,雪景色もいいですね。
・加賀の千代女(1703〜1775)は江戸時代の俳人です。金沢じゃなくて松任の人ですけど……それでも加賀の国の人ではあります。
 「朝顔につるべとられてもらい水」の句が有名です。
・犀川と浅野川は金沢の中心部を流れる2つの川です。それぞれにちがった風情があります。
 金沢桜百景のページには犀川や浅野川べりの桜の咲く風景がいろいろと載っていますのでご覧ください。
かぶら寿しは金沢独特の漬け物です。三日ほど塩漬けにした輪切りのかぶら(蕪のことです)にブリの切り身をはさみ,こうじに漬けるというものです。
・おあんさん→にいさん,旦那さん
・香林坊(こうりんぼう)は金沢一番の繁華街ですね。不夜城とまではいかないが,夜更けまでネオンの花が咲きます。
金沢なまり
(ひがし茶屋街 版)

 金沢なまりは にゃーにゃ行ってらっし
 行ってこやいに おゆるっしゅ
 そうけそうけでございみす
 あんやとあんやとヤァーヤ
 ついでにおばばに おゆるっしゅ
 もひとつおまけにへいろくな
 べやさ行くまさんか さそまさんか

 金沢名物 加賀友禅
 金箔漆器に九谷焼
 桐の工芸に 獅子頭
 ごりとくるみの佃煮に
 お酒も色々ありみっそ
 も一つ自慢の加賀料理
 美人もちょっこりおりみっそ
 まだまだたんと ございみす

金箔は金沢の名産です。日本全国の生産量の98%を金沢で作っています。京都の金閣寺修復に使われた金箔も全部金沢産です。
・漆器といえば「金沢漆器」ということですが,石川県では「山中塗」に「輪島塗」が有名ですね。
九谷焼も加賀の名産品。発祥の地はこれまた金沢ではなく,もうちょっと南。
桐工芸といっても桐のタンスではありません。もとはといえば桐の火鉢で,表面に蒔絵をほどこしたきれいな工芸品です。今では花瓶や小物などが作られています。
・獅子頭は加賀藩祖前田利家が金沢城に入城した際,平安と藩政の安泰を願った民衆が贈ったのが始まりと言われています。
・ごり(鮴)は浅野川でとれる川魚。くるみとともに佃煮が有名です。ちなみに,庶民価格でごりを味わってみたいなら,岩魚茶屋(いわなぢゃや)がおすすめです。
・みっそ→ますよ 「ありみっそ」だと「ありますよ」ということですね。
・加賀料理もいろいろとありますね。一番は治部煮(じぶに)ってやつですかね。
・美人はちょっこりどころか,たんとおりみっそ。

 ということで,「にし茶屋街版」と「ひがし茶屋街版」とのちがいはというと,
・1題目はほぼ同じで,ちがうところは「にし茶屋街版」には最後に「風呂 行くまさんか」だが,「ひがし茶屋街版」は単に「行くまさんか」となっている。
・2題目がまったくちがう。
 どちらも金沢名物で始まっているのだが,内容はかなりちがう。

 いずれにしても,お茶屋で,三味線と太鼓の音にのせて,生で聴きたいものですね。

 はじめは盆踊りに「金沢なまり」という曲が使われるのかと思い,調べたら,そんな曲は使わないということで,どうなっているのだろうと思いました。
 そうすると,結局は盆踊りでは「加賀ばやし」という曲だったのです。
 「金沢なまり」はお座敷の歌だったのでした。
 ちなみに,「加賀ばやし」には著作権者がはっきりしており,著作権法の関係上このWebページに掲載する場合には有料ですので,貧乏な私としては掲載できません。あしからず。
 これも,ついでに著作権について調べたところ,この曲は日本音楽著作権協会に登録された曲であり,歌詞の一部であってもWebページに掲載する場合にはインタラクティブ配信となるそうです。
 その場合,個人・非商用配信のダウンロード形式となり,使用料は1曲につき月額150円,年額では1200円です。
 ついでに著作権法違反の場合には,3年以下の懲役または300万円以下の罰金でございみす。
 共通語訳を載せようと思いましたが,訳詞(金沢弁を共通語にしても訳詞?)の場合にはさらに著作権者に許諾がいるので,ついに「加賀ばやし」の詞の掲載はやめたのでした。
 興味のある方はCDをご購入下さい。

 以上調査報告でした。

田舎の雰囲気の仕切り線

おまけにちょこっと「金沢名物」

加賀友禅


友禅流し 加賀友禅の着物  左は浅野川の友禅流しの様子。
 右は加賀友禅の着物です。
 友禅とは,布に糊を置いて,染色液が他に広がるのを防いで絵を描き,模様を染めるというものですね。宮崎友禅という人が始めたとされています。
(写真提供:金沢市)

かぶら寿し


かぶら寿し
 カブもブリも高いので,庶民はカブの代わりに大根,ブリの代わりに身欠きニシンを使ってお手軽に作ることもあります。(つまりうちのことです。ちなみに,大根とニシンで「大根寿司」と言っています。)
(写真提供:金沢市)

桐工芸


桐工芸の花瓶
(写真提供:金沢市)

金箔


金箔の作業
 金箔は金沢が総生産量の98%を占めています。
 10円玉ぐらいの金が畳1枚まで広がります。それほど薄いものです。
(写真提供:金沢市)

金沢漆器


金沢漆器
(写真提供:金沢市)

九谷焼


九谷焼
 九谷焼はこんな感じのきらびやかな磁器ですね。
 普通に家庭では,こんなきらびやかなものよりも,もっと地味なものを使っています。
(写真提供:金沢市)

治部煮


治部煮  治部煮に入っているものといえば,鴨肉(なければ鶏肉),しいたけ,せり(ほうれん草なんかが入っていることもある),すだれ麩(うちでは「ぞうりの裏」と言っている),そしてわさびがちょこんとのる。
 他に,豚肉とか,しいたけじゃなくてしめじとか,料理ですからいろいろと工夫ができますね。
 おまけで,「満腹探検隊」が探検したお店のうちで,治部煮が出てきた店の一覧は金沢の郷土料理「治部煮」のページです。

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