満腹探検隊
満腹探検隊の探検先:赤垣屋(あかがきや)

分類:和食
所在地:京都府京都市左京区孫橋町9(川端通り沿い。二条川端交差点近く)

−−−お箸の仕切り線−−−
探検時期:2020年10月  今回の探検目的:宴会
今回のお品書き:
お通し×2+しめ鯖+くみ上げ湯葉+おでん(大根,厚揚げ,ロールキャベツ)
+瓶ビール2本+日本酒1合
今回の所要経費:単品価格は不明だが総計は5200円
各予想価格
300円×2+900円+800円+(250円+250円+450円)
+650円×2+650円
探検隊の報告:
 ディープな京都を味わったね。
 久しぶりの京都への旅である。いつものように夜はどこかに出かける。
 今回はいかにも古い,そして庶民の行きそうな居酒屋を探したが,それがこの「赤垣屋」だった。
 京都国立近代美術館のコレクション展がこの日は無料だったので,それを鑑賞したあと,平安神宮あたりからバスに乗り継ぎ,たどり着いたのは5時半過ぎ。
赤垣屋のネオン  店に近づくと赤提灯がいい雰囲気。暗くなりつつある夕暮れ時に店の名前も赤いネオンで一段と際立ち,期待感が高まる。
 居酒屋らしい縄のれんをくぐると,店は満席である。
 「2人」と言うと,「空き次第のご案内となりますので,お待ちください」と言われ,入ってすぐのところに2人座って待つ。
 予約客もあるようで,小上がりが空いても,待ちぼうけ状態である。なので自分はタブレットを開き,連れ合いは文庫本を開き,しばらく暇つぶしをしつつ待つ。
 この間,店をながめると,照明は懐かしの傘をかぶった裸電球で,かなり薄暗い雰囲気。この薄暗さがまたいい雰囲気である。
 カウンターの中では大将と若大将,そしてフロアでは若者が3,4人ほど接客に動き回っている。みな男である。
 6時になって,カウンター席にいた2人連れのお客が去り,ようやく案内される。
 カウンター席の目の前には小さなショーケース。左にはおでんが居並び,右には御年おいくつなのか,大将がテキパキとした包丁さばきを見せている。
 カウンター席としては今夜は特等席に座ったようである。
 大将はえらく愛想がよく「お待たせしました」などと言ってくれる。ほかのお客さんに対してもいろいろと声かけをしている。
キリンビールとお通し  先程来見ていたところ,ジョッキのビールはないようなので,瓶ビールを注文する。出てきたのはキリンラガーの中瓶であった。
 冷え具合は微妙な感じ。キンキンに冷えているわけではなく,いつも呑むよりはやや温め。いや,冷え方が足りないんじゃないのと思うくらいの冷たさ。
 それは冷蔵庫で冷やすのではなく,居酒屋でよくある冷水のたっぷり入った冷水庫(と言うのか)から取り出して,布巾で瓶の周りを拭いてから供するという,いわゆる「どぶづけ」という形。いまどきの居酒屋としてはやはり昭和を感じさせる供し方。
 まずは連れ合いとビールで乾杯をして,今夜の酒のアテを何にしようかと考える。
 そしてお通しが2種類出てくる。一つは「たたきゴボウ」。たっぷりの胡麻もいいが,山椒の香りがアクセント。もう一品は「大根のタレ漬け」とでも言うべきか。コリコリとした食感にビールも進む。
 ちなみに,ここはお品書きはあるが値段は一切書いてない。これらのお品書き,みなさんの予想価格はいくらぐらいだろうか。
しめ鯖  さて,話はもどって,今夜の酒のアテだが,目の前のショーケースに鎮座するのが,バットに入ったしめ鯖のようである。連れ合いが
「これってしめ鯖ですか?」
 と聞くと「そうです」という答なので,2人とも大好きしめ鯖をまずは注文する。
 大将の手さばきのよい手つきで盛られたしめ鯖に何やらかけられた。
「これは何ですか?」
 と聞くと,三杯酢らしい。
 実にいい感じに締められた美味しいしめ鯖でビールが進む。
折ぎ板のお品書き
 目の前には今ではあまり見かけなくなった折ぎ板に書かれたお品書きがある。達筆の筆書きで,しかも均等割り付けなので,なかなかに読みにくいところもあるが,一応は判読できる。
 ちなみにこのお品書きが読みにくい人が多いのやら,あとでやってきた若者が「『鳥刺し』ください」と言ったが,大将に「それは『馬刺し』って書いてあるんです」と言われる始末。
くみ上げ湯葉  で,連れ合いが大好き「湯葉」という言葉を見つけて,それを注文する。「くみあげ湯葉」である。
 上に載っかるのはたった今おろしたての天然わさびと梅肉和え。目の前でわさびがすられるところを眺めるが,振り向いて右手で流水をちょっとつけてからすっている。こんなところに大将のちょっとした技が見える。
 大好き湯葉に連れ合いも満足そうである。
 ビールも2本目に突入する。
 そういえば後ろの階段みたいなところにはビールがひな壇のおひな様のごとく鎮座する。階段の下の段には「キリンラガー」,上の段には「キリン一番搾り」だから,「キリンビール」しか置かないなんて,これまた昭和の感覚か。
 ここはなんだか町家のような造りなのか。元々の町家を改装したものなのか。周りにはあまり酒場をはじめとする飲食店が見当たらなかったのだが,どういう歴史があるのだろうか。
おでん鍋  さて,着席以来目の前のおでんが気にかかる。で,連れ合いも京都のおでんを味わってみたいらしく,
「注文しようよ。」
 と言うので,
「まてまて,まずは日本酒を注文してから。」
 と制して,日本酒を頼むことにする。目の前に大きな樽がありそこから注がれている模様。
 聞くと銘柄は「名誉冠(めいよかん)」という聞いたことのない銘柄。
「あまりどこにでも出てないと思いますよ。」
 と大将が言う。
 先程来大きな四角いおでん鍋の前でおでんの世話やら,日本酒のお燗番,それに若い店員への指示と店全体への気配り,そして会計を一手に引き受けている若大将に「どんな呑み方が美味しいのか」と聞くと「人それぞれですね」などという,素っ気ない答え。大将の人なつっこい愛想の良さに比べて,かなりクールな対応。いや,むしろ愛想ないというべきか。
 では,常温にしようと注文する。「グラスに入れるか枡に入れるか」と聞かれたので,枡があるならいかにもディープな居酒屋らしく枡酒にしようとそれを選択する。
枡酒  手塩に載った一合枡が届き,片口からなみなみと注がれ,枡からあふれ出る。いやはやこれぞ居酒屋といった風情。お迎えに行く。
 この片口もまた大きい。直径20センチはあろうかという大きさ。
 樽の写真の上に載っかっているのがその片口である。
 「忘られぬ酒」……いいですねえ。
名誉館の樽と片口  味わいはというと,日本酒の香りよりも,香り高い檜の香りがただよってくる。これはこれで枡酒のお楽しみか。
 後で調べてみるとこの「名誉冠」というのは京都は伏見の「山本本家」という酒蔵の酒だった。そしてなんと,帰りに京都駅で自宅用にと買った2本の酒が同じ「山本本家」の「神聖」だった。知らずに買ったのだが,たまたまではあったが,「山本本家」の酒に縁のあった京都の旅だった。
 さて,いよいよおでんの注文であるが,定番の大根,それにロールキャベツがなんとも美味しそうに鍋の中で泳いでいるので,ロールキャベツ,そして,焼き豆腐にしようかと思ったが改め,厚揚げの3品を頼む。
 おでん担当の若大将がこれらを皿にすくい出すと大将に渡し,大将が適当な大きさに,いや,人数に合わせてか,切ってくれる。
おでん 大根を食べると出汁の具合がよく分かるのだが,ここの出汁はかなり薄めであった。これぞ京都って感じの薄味。色はしっかりと染みこんでいるのに味は薄めだった。それに比べロールキャベツの中身にはしっかりと味が染みている。
 ちょっと手の空いた大将に聞くと,ここは昭和25年に始めたらしい。
「もう70年も経ってますよ。」
 と大将が言う。
「じゃあ,大将が2代目で,こちらのおでんの若大将は3代目?」
 と聞くと,にっこり笑う。そうなのか,そうでないのかは,しかとは分からないが,大将と若大将の顔の輪郭は似ているような気がしないでもない。
 それにしてもこの居酒屋の佇まい,実に落ち着いた感じでよかった。まさしく「老舗」と名付けてよい佇まいであった。そして,「しめ鯖」が実に美味かった。
 以上が我々のこの日の宴会の1次会である。

 で,最後の感想の一つは
 「ディープな京都だったが,そこまでチープな京都ではなかった」
 というもの。
 というのも,お通し,一品料理2品,おでん3品,ビール2本と日本酒1合で5200円だったからである。
 お品書きに一切値段表示がないため,分からないので,それぞれの予想価格はというと,お通し300円,しめ鯖900円,くみ上げ湯葉800円,おでん(大根250円,厚揚げ250円,ロールキャベツ450円),瓶ビール650円,日本酒1合650円 といったところ。そうすると合計5200円となる。
 そして,最後の感想の二つ目は
 「大都会京都だもの,地方都市金沢に比べれば,二割増し,三割増しのお値段は当たり前かな」
 というもの。
 自分たちの直前にカウンター席で2組のお客さんが支払いをしていったのだが,親子2人連れは14000円あまり。子供の方はお酒は一切呑まず,食べ物のみで,お父さんだけがお酒を呑んでこの値段。
 お隣の老夫婦(などと人様のことは言えた義理じゃない)は15000円あまりの支払い。老夫婦なのでそんなにたくさん呑んで,食べていったとは思えないのだが,料理がそこそこいいお値段ということか。
 2人で15000円も出せば,地元金沢の居酒屋では結構なものが食べられるのではないかと思われる。いや,お酒付きで会席料理一式も可能である。
 で,直前の2組の支払額を聞いたあとに,自分が支払いする段となり,結果5200円だったので,「まあこんなものか」とは思ったが,それでもそれぞれのお品書きが予想価格くらいだとすると,大衆庶民の居酒屋としてはそんなに安いとは思えなかったのだった。
 今回の京都の旅では「立ち呑み いなせや」なんてところで,総計酒7杯とおつまみ9品で5000円以内という「チープな京都」も味わってたいたので,なおさらそう思うのかもしれない。
 とは言え,今回の旅では1000円のラーメン食べたり,1250円のうどん食べたりと,「旅に出たならではの贅沢」なんて言いながら観光地価格で出費しているので,ここでの5200円の出費は満足価格と言えるだろう。
 2人でこの程度軽く呑んで5200円だから,驚くほど高いわけじゃない。このディープな雰囲気を味わわせてくれた場所代に呑兵衛税だと思えば,たいしたことはない。
 カウンターの特等席に座り,大将の心地のいい対応や,愛想のいいおしゃべりを聞いたり,手際を見たり,そして何よりも70年にもなる老舗の雰囲気を味わったりしたこと。この店の裸電球の薄暗い昭和の雰囲気を味わったり,聞いたことのなかった「名誉冠」なんて銘柄の酒を枡酒で呑んだり,美味しいしめ鯖を味わったりなど,1時間弱の滞在だったが,ディープな京都を味わえたいい夜だった。

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探検隊おまけの報告:今回は特にありません。

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