満腹探検隊
満腹探検隊の探検先:三笠(みかさ)

分類:和食
所在地:長崎県長崎市元船町11−12(大波止・ゆめタウン向かい)

−−−お箸の仕切り線−−− 探検時期:2019年8月  今回の探検目的:宴会
今回のお品書き:ゴマサバ+鯨4種盛り+みな+メンチカツ+焼酎×4
今回の所要経費:700円+6000円+500円+600円+300円×4
→9000円
探検隊の報告:
 「ディープな長崎」を体験したね。
 九州の旅4日目の夜である。2日目は長崎泊。3日目は五島列島の福江島に渡り,福江で1泊。そして今日4日目は長崎に戻ってきて,長崎の2回目の宿泊である。午後から夕方まで観光バスに乗り,一度ホテルに帰る。そのあとこの日の締めの宴会に出かける。
 今夜は朝に福江からのジェットフォイルを降りた大波止から,まっすぐ県庁坂通り沿いにあるホテルに向かう途中で見かけた唯一の居酒屋であるここ「三笠」を目指すこととする。
 ちなみにうちの連れ合いがいつもの「主婦の勘」で,
「ほら,朝に見かけた,あのカウンターの上にお弁当を並べてあった,あの店に行ってみようよ。」
 と言ったのだが,それはお隣の「おにぎり屋さん」だと思われる。並んでいたのはこの日の宅配の準備だったと思われる。なので,実際に行ったのは,その「おにぎり屋さん」の隣の建物のこの「三笠」である。
 さて,この店は見た目はえらく年季の入った風の店。周りにはやたらと立派なビルが建ち並び,お向かいに至っては「ゆめタウン」などといった,大きな商業施設がある中に,この店と,お隣の「おにぎり屋さん」くらいが2階建ての木造の建物。そう,どちらも年季の入った風で,似ている。
 そんな「三笠」の,手動ドアをガラガラッと開けて,店に入る。
 中はL字形のカウンター席。すでにご常連さんらしき3人が陣取っている。そこで,空いているカウンター席に座る。そして,カウンターの中には女将が1人。
 この日は,福江島から戻ってきての「皇上皇」での昼呑みから,グラバー園の「グラバーカフェ」のちょい呑みに,長崎駅と思案橋での2回もの「立ち呑み たたんばぁ」での立ち呑みと,結構ビールは呑んできているので,ここでは初っ端から焼酎をいただくこととする。芋と麦を1つずつ。
「どんな飲み方がいいですか?」
 と連れ合いが聞くが,
「それは,好き好きよねえ。」
焼酎  と,女将の素っ気ない返事。いや,当たり前と言えば,当たり前の答。この素っ気なさが女将の特徴か。まあ,確かに言われるとおりなので,2人ともロックでいただくこととする。
 基本1杯300円のようである。さすが焼酎王国九州の庶民価格と言うべき値段。
 さて,焼酎のアテには何にしようかと,黒板メニュー,いやホワイトボードメニューやら,壁に並ぶ木札のお品書きを眺めるが,好物「しめ鯖」が目につく。「しめ鯖がいいかなあ。」などとつぶやくと,女将が
「うちは『ゴマサバ』が名物よ。」
ゴマサバ  と言うので,その「ゴマサバ」をいただくこととする。
 よくよく木札のお品書きを見ると,下には「三笠の一押し。ゴマサバ。真サバの刺身をゴマじょうゆにつけたもの」といったことが書いてある。
 「ゴマサバ」という鯖の種類かと思ったらそうではなく,鯖のゴマ醤油漬けで「ゴマサバ」らしい。
 ほどなく「ゴマサバ」がやって来るが,こいつは説明通り,「鯖の漬け」とでも言うべきもの。
 上には刻み海苔とネギ。脇にはワサビが添えられている。とりあえず混ぜていただくが,結構甘めの味付けがなかなか美味しい。しかも大ぶりに切ってある鯖の一切れ一切れが歯ごたえもよく,実に美味い。
ゴマサバ  木札のお品書きはほとんどが値段の記入がないのだが,逆算するに,こいつは700円か。つまりは「時価」ってことか。
 700円ならば,上出来の酒のアテである。いや「上出来」なんて言うと,この結構思ったままを口にする風の女将に「あんた,何を失礼なこと言ってんのよ。」と言われそうである。
 つまりは「ゴマサバ」というのは鯖の種類ではなく,鯖の料理の名前であると知る。好物の鯖に,このような美味しい料理法があったとは。
「これ美味しいね。」
と言うと,女将が
「何だかインターネットに載っとっと。それ見て食べに来る人もいるとよ。」
と,九州弁。「困っとっとよ。」とのこと。まあ,それでお客が来てくれるのだから,「困らんでもいいがいね。」と金沢弁で返したいところだが,女将はすでにほかのご常連との会話に移っている。
 連れ合いが,やっぱり九州に来たんだから鯨を食べようと言い,女将に
「鯨食べたいんだけど。」
 と言うと,「どんなのがいいか?」との受け答え。
「『さえずり』なんかが人気だけど。」
 と言うが,どんなも何も,鯨なんて小学校時代の給食の「鯨の竜田揚げ」以来ほぼ食べていないので,選びようがない。女将が
「じゃ,適当に盛り合わせにしようか。」
 と言うので,それを頼む。
 そうして出てきたのがこちら。
 左「末広」。
 畝須(うねす)を茹でたもので,主に長崎での呼び名らしく,断面が末広がりであることに由来するらしい。畝須とはヒゲクジラの下あごから腹にかけての縞模様の凹凸部分の肉。
 奥「ベーコン」。
 畝須を塩漬けにしてから燻製にしたもの。赤い着色が印象的。
 右「赤肉」
 背肉,腹肉などの脂肪の少ない部位。赤身肉。いわば,鯨の刺身。
 手前「さえずり」。これは舌。
 食べるために2種類の薬味が供される。一つはワサビで醤油を入れて刺身用,もう一つは生姜でポン酢を入れて刺身以外用らしい。
 ちなみに,この4種盛りでおそらく6000円。これも「時価」ってことか。
 今回の九州の旅の中では最高値の注文品。だが,そうそう手に入らない貴重な鯨肉なので,これくらいの値段だろう。いや,この旅のあちこちで見かけた鯨よりもかなりの厚切りである。
 そもそも女将が「この店のは結構分厚く切って出してるのよ。」と言いつつ,「こんなの仕入れているのよ。」と真空パックのものを見せてくれた。
 中でも「さえずり」が一番美味しかったかな。一番まったりというか,とろっとしていて味わいがあった。そう言えば,カウンター席のお隣さんは「さえずり」のみを注文していた。
カウンターのみな  そうそう,このお隣のお客が五島列島の福江から仕事で長崎に来ているらしく,福江の話で盛り上がる。
 途中で連れ合いが
「さっきから気になってたんですけど,カウンターの目の前のこれってなんですか?」
 と聞くと,「みな」という貝らしい。それではと,貝好きの連れ合いがこれを注文する。
みな  ということで,右の写真はカウンターの目の前の大皿の「みな」。
 そして,左は出てきた「みな」。
 こいつはホワイトボードに「本日のメニュー」として載っており,500円。明朗価格。
 これが円錐状の巻き貝で,なんで取り出すのだろうと思っていたら,女将に
「そこに針みたいのが入っているでしょ。それで突き刺して取り出すのよ。」
みなを取り出す女将  とのこと。
 さっきからその銀色に光る針は目についていたのだが,いったい何なのだろう,なんに使うのだろう,楊子にしては変だし,などと思っていたやつだった。
 「そうか,そのための針なのか。」と感心する。うちでサザエを食べるときには果物用の小さなフォークで取り出したりしているが,この小さな貝のためにはこんな細い針なのか,と納得する。
みな  そうして,いかにも「みな初心者」であることがわかる我々なので,女将が1個取り出し方を実演してくれる。
「こうやって,突き刺して,くるくるっと巻きながら取り出して……それと貝の蓋は食べられないよ。」
 などと,実演をしてくれるのだった。
 単純な塩味で,磯の香りがする。海に来たなあって感じの味である。
カウンターの上  この店にはあちこちに女将の手書きらしい御教訓(?)が貼ってある。
 「幸せのはひふへほ」とは
 半分でいい
 人並みでいい
 普通でいい
 平凡でいい
 程々でいい
 うーむ,なるほどね。確かに,上を見れば切りがない。幸せに思うためにはこんなのがいいのかも。
太刀魚唐揚げ  先ほどのご常連さんが「ここの『メンチカツ』も美味いよ。」と言うので,それを注文してみる。
 その前にご常連さんは「太刀魚唐揚げ」を注文していたらしく,できあがったそれを撮影させていただく。
 撮影すると
「うわぁ〜,写真に撮られたから,味も吸い取られた〜」
 などと,ご常連のご冗談でみんなで笑う。
 この女将は巨人ファンらしく,この冗談を言っているご常連に
「今日はジャイアンツが負けてるから,機嫌悪いんじゃないの?!」
 などと突っ込みを入れられている。
メンチカツ  ご所望の「メンチカツ」600円也がやって来るが,女将からの諸注意がある。
「箸を包丁のようにして『メンチカツ』を割っちゃダメよ。肉汁が飛び散るから。まずは箸を突き刺して,空気抜きの穴を開け,それからゆっくりと割るのよ。」
 とのこと。御教訓ならぬ,御注意を忠実に守り,この「メンチカツ」をいただく。
 確かに肉汁あふれる美味しい「メンチカツ」である。女将に「そこのソースをどうぞ。」と言われたが,ソースなどの調味料はいらない。そのままの味わいで十分にいける美味しい「メンチカツ」であった。
 そうそう,付け合わせの「ポテトサラダ」も美味しかった。
メンチカツ  ご常連さんとの会話の中で,女将の過去の話が始まる。
 女将が40を目の前にしたあたりで,連れ合いさんが事故で急逝したらしい。それからしばらくは茫然自失の状態が続いたが,それではいけないと,やったこともない居酒屋,つまりはこの店を始めたらしい。
 ワケのわからないまま,無我夢中で店を切り盛りしてきたとのことだが,そんな苦労をしてきた女将だからこその味わいのある店になっているのだろう。
 店を始めてからかれこれ33年。女将の年も知れようというものだ。
 ホワイトボード近くのこれまた女将手書きの御教訓には
「仕事が楽しかったら,人生はもっと楽しい」
 とある。
壁  少なくとも女将はこの仕事を楽しんでいる風である。
 支払いを終えて帰ろうとすると,店の出口近くにはまたこのような御教訓。
 これぞ女将がこの店を始めたときの心意気かもしれない。
 今日は昼間っからいろいろ呑んだので,今夜はこの1軒の店だけでホテルに帰ることとする。
 たまたま,朝に通りかかって,唯一目についた居酒屋にやって来たのだったが,なかなか「ディープな長崎」に出会えた。ここはまったくもって地元密着の居酒屋なのであろう。
 この先も女将には元気に店を切り盛りしていってほしいものである。
 「やれば」出来る。「やらずに」出来る事はない。

−−−ビールの仕切り線−−− 探検隊おまけの報告:
お品書き
このとき(2019年8月)のホワイトボードメニューいろいろ:
手作りメンチカツ→600円,みな→500円,ポテトサラダ→300円,
小エビ甘辛煮→500円,イカと魚のフライ→500円,
イワシ煮,イカ煮→各500円,ハモの湯引きとワケギ→600円 など −−−九州特集の仕切り線−−−
 満腹探検隊2019年夏の九州旅行の日程と「満腹探検隊」の報告の一覧は「ちくわサラダ」のページにあります。

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