1998年9月19日より30日まで,金沢のギャラリー点において「藤井肇『イキヨウ』展」が開催されました。
それでは,この展覧会を開くにあたっての藤井肇氏よりいただいた案内のはがきのことばを載せてみましょう。
「いかに生きていくかが,難しい現代。
それだけに生の喜びをより感じさせ,次代に生命を伝えていくことの大切さを思います。
その思いを,173cm×620cmサイズの絵画を中心とした4点で表現しました。」
まずギャラリーにはいると中央にテーブル。
奥の角には車椅子。
何だこの人形(ひとがた)は!!
ということで,
やおら右側から左回りに作品を見ていくと,
こんな感じに並んでいます。
フォーティ・フォーテン
「拳を固め両手を差し上げた
人型はモノセックスで
それぞれいいようのない怒りを表現した。
チェルノブイリの場合は
深い悲しみを表現している。」
「1学級定数40人の定数法では
現代の多様な社会,子供にあった
教育をすることが困難というのが
今の教育界の常識である。」
「教師の授業が行き届く範囲は
教師の目の前
せいぜい20人ほどである。
その姿を直立不動の姿で
黒の影法師で表現している。
でも子供の本体は別々好き勝手なことを
考えている形で表現している。
教室の後半の子供達は
それはもう,好き勝手である。
それが子供であろう。」
「英国で日本の学級は
1学級40人の定数である,
とお話ししたら
それは通訳ミスで
14人であろうといわれた。
欧米諸国では,1学級20人ほどが
常識なのである。」
「子供は教師の前で
表情のないシラケタ顔を見せる。
が,一人一人の心は
それぞれ好き勝手なことを
思っている。
それが子供である。」
「神戸大震災のあと
子供たちは,それまで好きであった
ダンボールの図工がキライになった。
避難用のダンボールハウスを思い出すからである。」
「そのころから私は
ダンボールを使うようになった。」
百年に1回の洪水に
「犀川上流に建設中の
辰巳ダムは
統計上百年に一回起きるであろう
コウズイの為に。」
「画面左上の
文化遺産の辰巳用水跡は展示ホールに,
画面その下の
繁殖的に貴重な存在の羊歯は保存室に,
それぞれ移転,保護される,
という。」
「然し,
それは正しい保存,保護ではない,
と思う。」
「画面右下に,
辰巳用水の石造導水管の
接着に使ったのではないかと思われる
器具を描いた。」
チェルノブイリからはじまる
「チェルノブイリ原子力発電所の事故は
世界の原子力発電所の事故の
終わりではなく,
始まりである。」