ちょこっと一言ずつ金沢弁を紹介しましょう。
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「だら」 =「バカ」,「アホ」(つまり罵倒語ですね。)
金沢弁の代表格。
「なに,だらなことやっとるが。」(「なに,バカなことをやってるのだ」)
「このあほんだら!」(おお,最高の罵倒だ。)
「あーあ,だらなことしてしもた。」(「あーあ,バカなことをしてしまった。」)てなぐあいです。
「だらけ」「だらぶち」「だらま」などと接尾語(?)がついて使われることもあります。
ちなみにこの「だら」の語源は「足らず」→「ダラズ」→「だら」となったという説があります。全国的にも石川,富山,島根,鳥取あたりにこの言葉が分布しているようです。
松本 修『全国アホ・バカ分布考 はるかなる言葉の旅路』(太田出版,1993)はおもしろい本でした。アホ・バカの全国分布の探求に始まり,全国の罵倒語の分布状況と,言葉が都を中心に年速1kmで全国に広がっていったというところがおもしろい。
ちょこっと一言金沢弁のもくじ
「ゲベ」=「ビリ」,「最下位」
いつも運動会のかけっこで「ゲベ」だった私は,この言葉は聞きたくない。
「おまえ,またゲベ?!」
「……」(返す言葉がない。くそっ,来年こそは,と思いつつ,またもや「ゲベ」の私だった。)
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「どぶす」=「側溝」,「ドブ」
「どぶす」ったって,「ドブス」じゃありません。道路の横にはどこにでもあるあの側溝です。
そういえば,都会は今や下水道だから,そんなもの見ることできないか。
道路でいつも遊んでいた子ども時代,ボールはいつも「どぶす」に転がり落ちる。
「あーあ,またどぶすに落ちたぞいや。」(「あーあ,また側溝に落ちてしまった。」)
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「ごぼる」=「雪に足がはまる」
「ごぼる」なんと言っても雪国らしい言葉です。雪道を歩いていて,長靴が突然「ゴボッ」と沈み込むあの感じです。本当に「ゴボッ」って音がするんですよ。
この言葉,音からきたのかな?「ゴボッ」っと音がして沈み込むから「ごぼる」なのでしょうか?
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「いんぎらぁと」=「ゆっくりと」「ゆったりと」
「いんぎらぁとしていくまっし」(「ゆっくりしていきなさいませ」)
何となく,のんびりとした感じですね。ゆっくりと,ゆったりと,くつろいでいってくださいという感じです。
ちなみに,金沢弁では語尾に「し」がよくつきます。「見まっし,来まっし,食べまっし」ということで,「どうぞ……していきなさいませ」というおすすめの言葉です。
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「おんぼらぁと」=「ゆっくりと」「ゆったりと」
「おんぼらぁと食べていくまっし」(「ゆっくり食べていきなさいませ」)
「いんぎらぁと」とよく似ています。「いんぎらぁと」はどちらかといえば空間的なゆとりで,広い草原にねっころがって,広大な青空を眺める感じですが,「おんぼらぁと」は量的なゆとりで,米蔵の前にどっかり座って,おにぎりでも食べるような感じですね。
とにかく,これもゆっくりと,ゆったりと,くつろいでいってくださいという感じです。
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「〜まっし」=「〜しなさいよ」
「来まっし,見まっし,食べまっし」(「来なさいよ,見なさいよ,食べなさいよ」)
「おんぼらぁと」のところでも書きましたが,「まっし」は「〜しなさいよ」という意味で,相手にものごとを勧めるときの言い方です。
もう少しねちっこく言えば「ま」がついて,「来まっしま」となります。かなりしつこく「来てちょうだいよ」というときの言い方かな?
「みんな,もっとPrince Kochan's Productionのウェブサイトにアクセスしまっしま。」
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「〜が?」「〜け?」=「〜の?」
「そうなが?」(「そうなの?」)「そうなんけ?」(「そうなの?」)
いずれも文末について,疑問文となります。
でもこの「が」なんてのがいつもつくおかげで,金沢弁は汚い言葉などと言われたりもします。聞いていると聞き苦しいというわけですね。
「が」と「け」をまとめて「がけ」でも疑問文です。「崖」ではありません。
しかし,方言なんて一つの文化なのだから,それでいいんじゃないがけ?
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「なんなん?」=「何なの?」
疑問文の中でもいったいこれって「なんなん?」というのがこの「なんなん」
「何(なに)」が「なん」になり,「なの?」が「なん?」になる。
すると「何なの?」は「なんなん?」
それに「け」がついて「なんなんけ?」という疑問文にもなります。
では,インド料理店にて……
「ほらこれがインド料理で有名なナンやよ。」
「えっ?これがナンなん?」
「そうやよ。」
「ところで,ナンってなんなん?」
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「おいね」=「そうなんだよ」
「おいね」は相手の話に対して,相づちを打ち「そうなんですよ」という意味で使われます。
男の場合「おいや」という方が多いかも知れません。
あるいは,単に相づちよりも,本当にそうなんだよ,と感情を込めて肯定するときに使います。
「おいね」と同じように使う言葉に「ほうや」もあります。
「ウェブサイトで方言のページつくっとるんやて?」
「おーいね。一回読んでみてま。」
てなぐあい。感情を込めるとのびてしまいます。
そういえば,「オランダおいね」という小説がありませんでしたか?おいねさんが登場する小説です。
「あそこ歩いとるが,おいねさんじゃないけ?」
「おいね,おいねさんや。」
(いまいち,しゃれにならない……?)
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「〜じ」「〜じー」=「〜ね」「〜だね」「〜だなあ」
しかし,共通語で考えようとするとなんと難しい。
普段何気なく文末に「じ」をつけ,「やるじー」とか「すごいじー」とか言ってるけど,これって何?
「やるじー」なら「やるじゃないか」といった感じ。「すごいじー」なら「すごいじゃないか」といった感じで,ある程度感嘆をしているというような感じでしょうか。
しかし,「そんなん知らんじー」といったら,「そんなの,知らないよー」と半分相手を非難するような,自分を卑下するような感じもあるし。
でも何気なくいつも使ってる「じー」でした。
ある日の数学の授業風景 その1
図形のお勉強で,角を書いたときに
「みんな,∠gを書くじー。」(「みんな,∠gを書いてるね。」)
いまいち,中学生の間にしらけ鳥が飛ぶ!
「先生!もうちょっこ,ましなしゃれ言ってくれんけ?!」
ある日の数学の授業風景 その2
「この直方体の対角線ECの長さどうやって求めるかわかるかな。」
「三平方の定理使うんじゃないが。」
「ほうや,EとGを結んで直角三角形書くがや。」
「うーん,いい考えやがいね。」(と図に書き込む)
「こうやってEとGを結んで,線分EGを書く。EGを書くなんて,なかなかいーじー。」
「…………」
「直角三角形CEGを書くなんて,すっげぇいーじー。」
「…………」
「先生,もうちょっこし,ましなしゃれ言ってくれんけ?!」
「EGを結ぶと簡単に求められる,つまりイージー(easy)ってことやね。」
「……先生,次の問題へいかんけ。」
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「〜しまいか」=「〜しませんか」「〜しようよ」
では,「しまいか」活用編
あまりにしつこくやり続ける人に対して
「しまいにしまいか」
(終わりにしようよ)しまいにするとは終わりにするってことですね。
近江町市場で刺身の選択に悩んでいる人に対して
「いかにしまいか」
(いかにしようよ)おやじギャグでした。はい。
さらにイカの種類に悩む人に対して
「あかいかにしまいか」
(あかいかにしようよ)ちなみに「しまいか」ってイカはいません。
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「かたがる」=「かたむく」
「この『かたがる』の文頭のマークかたがっとらんけ?」
「おいね,かたがっとるぞいね。」
「誰ながや?こんなかたがったんにしたが?」
「そんなことゆうたかって,知らんわいね。」
「かってにかたがるなんてこと,ないやろいね。」
「ほうや。誰かがわざと,かたがらせたんじゃないがけ?」
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