分類:和食
所在地:山形県山形市蔵王温泉92
探検時期:2021年11月
今回の探検目的:宴会
今回のお品書き:瓶ビール(サッポロ黒ラベル・中瓶)×2
冷酒2合
純米大吟醸 楯野川(酒田市・楯野川酒造)+辛口樽酒 住吉(川西町・樽平酒造)
お通し(?)×2
その内容は おでん,もってのほか(食用菊)の酢の物,漬物盛り合わせ,手羽ぎょうざ
今回の所要経費:700円×2+800円×2+3000円×2→9000円
探検隊の報告:
はるばる山形は「蔵王温泉」へとやって来た。金沢からは片道500キロ以上の旅である。週末お天気がよいということで,突然の予約の気まぐれ旅である。
宿は「蔵王温泉」にある3つの共同浴場からほぼ等距離という「吉田屋」に素泊まりとして泊まる。いつもの「素泊まり,夜は地元の居酒屋めぐり」という手である。この「蔵王温泉」という温泉街ならば夜に食べに出るところもあるだろうと,素泊まりとし,共同浴場からは近い宿としたのだった。
(↑泊まった部屋からの眺め。中央にはゴンドラが上がる様子が見える。正面には共同浴場の「川原湯」,左手には共同浴場の「上湯」がある。「川原湯」の前をカモシカ君が悠々と歩く)
ちなみに「吉田屋」は素泊まり1人4500円。源泉かけ流しの温泉は24時間入浴可。窓からは温泉街やゴンドラも見える部屋だった。かなり古くからある旅館らしいが,快適に過ごせた。
(←部屋から見るカモシカ君。右は「共同浴場川原湯」)
ちなみに,窓から夕方カモシカを見かけた。ふらふらと温泉街を歩いているのである。山から下りてくるらしい。
さて,とりあえず温泉に浸かり,さっぱりしてから町の偵察に出かける。しかしだ,開いている店がないのである。この温泉街で唯一のコンビニまで行き,そのあたりには飲食店がありそうだったが,明かりが消えて閉まっていたり,明かりはついていたがすでに営業時間が終わっていたりしている。まだ夕方5時半である。このときのためにわざわざ山形県の「Go to Eatクーポン券」まで入手したが,それを使うどころではないのである。
そこで温泉街を「吉田屋」まで戻ろうとしたところにあったのがこの赤提灯の光る「貴和」だった。何もなければコンビニでおつまみやらカップ焼きそばやら買って部屋で宴会でもするかと思っていたのだが,せっかくなのでのれんをくぐってみることにしたのだった。
扉を開けるとお客は誰もいない。タバコ臭い店内に,女将がカウンター席の向こう側に立っている。
「2人だけどいいですか?」と聞くと
「うちはごはんものはないですよ。」と言うので
「いや,呑みに来たんです。」と答えて店に入る。
店はカウンター席が4席と,小上がりにテーブルが2つある。
「そちらのテーブルにどうぞ。」と言われて,連れ合いと2人,小上がりに上がって向かい合わせに座る。
まずはビールが呑みたいので瓶ビールを注文し「銘柄はいろいろあるんですか?」と聞くと「いいえ,一つだけ」と言って出てきたのが「サッポロ黒ラベル」。まずはこいつで乾杯である。
店の中を眺めるといろいろとお品書きの短冊が下がっている。連れ合いが
「この中から注文すればいいですか?」と聞くと,
「まずはお通し出すから待ってて。うちのお通しはいろいろあるからね。」
と言われて,もはや女将のなすがままである。
で,まず出てきたのがこちら「おでん盛り合わせ」と「もってのほか」である。
といっても女将に
「『もってのほか』です。」と言われて,一体何のことやらさっぱりわからなかったが,説明を受けて食用菊のことだとわかる。その酢の物であった。
うちでは食用菊を食べることはないので,珍しい酢の物だった。適度な酢の味わいで,お通しとしては日本酒に合う感じだった。
そうこうするうちに瓶ビールは2本目に突入する。
そして女将が調理場で何やらやっている。「おでん」と「もってのほか」がお通しかと思ったが,まだ出るらしい。
そうして出てきたのが「漬物盛り合わせ」と「手羽ぎょうざ」であった。「お通しいろいろ出ますよ」の通り,確かにいろいろと出てくる。
この漬物がまたいい味だった。
この一皿で二人前。
左は黄色い白菜。お隣はカブ。右はキュウリだが,これがピリ辛に漬けてあり,実にビールが進む。
これで一段落らしく,女将もカウンター席の端っこに座り
「タバコ吸ってもいい?」と聞くので
「どうぞ。」と答える。
で,このあたりから女将とのいろいろな会話が始まる。なにしろ今夜は我々の貸し切り状態である。
途中で顔を出した若者がいたが
「ごめん,今日はもうおしまい。」と言って断っている。
女将曰く
「一日一組にしてるのよね。」ということだから,貸し切り状態というよりも,そもそも今夜一番に入った我々の貸し切りであった。
この女将は料理好きらしい。この店も40年ほどやっているとのことだった。
「もってのほか」の説明もあれば,途中の道の駅で「青菜」という菜っ葉を見かけ「あおな」と読むのかと思ったら「せいさい」だったのだが,その「せいさい」の使い方なども教えてくれる。
そうそう,先ほど「吉田屋」の窓から見えていたのもカモシカであると教えてくれたのも女将だった。よく山から下りてきて,温泉街を徘徊するらしい。
しかし,「料理の注文受けて作るの面倒だから,お通しとして勝手にいろいろ出してるのよね。」というのだが,あの短冊のお品書きは何のためにあったのか?
さて,最後に地酒を呑むことにする。
今日は途中の道の駅で結構いろいろと食べて,お腹はそれほど空いてなく,夜は部屋でカップ焼きそばでもいいかと思っていたくらいなので,料理をこれ以上注文するほどでない。
いや,いわばこの店の「お通し」だけでいろいろと食べ,お腹もいっぱいになり,このあとはお腹のふくれるビールより濃いめの日本酒である。
カウンター席の上には一升瓶がいろいろと並んでおり,「地酒ならどれがいいか?」と聞いて,「じゃあこれを」ということで入れてくれたのが「住吉」(手前・やや黄色っぽい)と「楯野川」(奥・透明)である。これがまた手塩の上にグラスを置いて一升瓶から注ぎあふれさせるという居酒屋スタイル。お迎えにいかなくてはならない。
この「住吉」は樽酒というだけあって杉の香りのする酒。「楯野川」はさらりとした辛口だった。
この酒を飲み干して店を去ることとする。
去るときにお土産にと「もってのほか」の酢の物を袋にたっぷり入れてくれた。それとテーブルに置いてあった柿もくれた。
支払いは総計9000円。このお通し4品が1人前3000円相当だから決して安いとは言えない。いやむしろお高め。お通しは予想価格の2倍である。
瓶ビール中瓶700円,日本酒1合800円もお高めだが,お通し4品3000円,それだけで終わりというのも初体験。
まあ温泉地価格,観光地価格,女将からの地元情報入手料,女将とのざっくばらんな会話料,貸し切り料金,どこも店の開いていない温泉街の特別営業料金,呑兵衛税と思えばそんなものである。
なにしろ旅に出て,楽しく夜の時間を過ごせたのだから,これ以上の幸せはない。
探検隊おまけの報告:
このとき(2021年11月)の短冊のお品書き
(予想では注文しても出てくるとは限らない…いや,注文させてくれないかも…)
山形牛焼肉→2000円,山形牛たん焼き→2000円,鶏唐揚げ→1600円,
手羽ギョーザ→1600円,海老のカツアゲ→1600円,焼魚→1300円より,
季節の天ぷら(2人前より)→3000円,揚物料理(2人前より)→3000円,
焼きおにぎり→300円