分類:和食・中華(ラーメン)
所在地:長野県下高井郡山ノ内町(渋温泉(しぶおんせん))
探検時期:2009年8月
今回の探検目的:宴会
今回のお品書き:いろいろ食べてビール飲む
今回の所要経費:2人で5600円
探検隊の報告:
渋温泉へとやって来た。素泊まりの旅館(名称はホテルだったが,旅館と呼ぶにふさわしい)をネット予約し,昼過ぎに到着する。旅館で外湯巡りのための外湯の鍵を預かり,朱印を押す手ぬぐいを300円也で購入し,外湯を入り歩いた。9つのお湯をとりあえず巡り,あとは晩ご飯というよりも宴会である。外湯巡りをしながら,いろいろと飲める店を偵察して歩いたのだが,あまり居酒屋風の店もない。そこで,二番湯の笹湯前のおみやげ屋でいろいろと買ったついでにどこかお勧めの店はないかとおばちゃんに聞いてみる。すると,そこの表通りの「串政」がいいよと言われてやって来たのだった。「うちの夫もよく行くし,良心的だからね。」ということだった。
さて店にはいると,まだ誰もいない。店主も奧にいて,なにやら準備しているようなので,姿がない。そこで,声をかける。でとりあえずはビンビールを注文する。アサヒスーパードライの大瓶である。そして,注文はというと,カウンターの上に貼ってあるお品書きから,やはり「串政」なので「砂肝」(3本300円)と「もつ焼き」(500円)を注文する。待つ間につきだしが出てくる。キュウリと茗荷の和え物である。これをつまみつつ,あっという間にビール1本がなくなる。なにしろ,温泉に浸かって歩き,のどが渇いていて,とにかくビールがうまいのだった。
さて,まずはもつ焼きが出てきたのだが,お皿にたっぷり入っている。そして実に美味いのである。柔らかい。それだけではない,味がいい。いや,ビールの進むおつまみだ。
ちょっと小太りの(おっと失礼)店主にこの店にたどり着いた理由など話しつつ飲む。店主が言うには,渋温泉もさびれてきたということである。確かに古びた建物は多いし,遊ぶところも射的やスマートボールなんて,自分が子どもの頃に温泉に行ったらあったものが,今なお健在である。どの店もおばちゃんばかりが目につく。「自分が子どもの頃は,温泉街は歩くと人の肩にぶつかるくらいだった」とのことであった。おまけにそのころは芸者が180人ほどもいたそうである。これは驚きの数である。これだけの温泉街で180人だったら,かなりの賑やかさであろう。そして「今では10人くらいしかいませんよ」とのことだったが,それでも10人もいるのか,と感心したのだった。
そのあと目の前で砂肝が焼かれる。結構大きな砂肝である。これもまたこりこりと美味い。またもやビールが進む。
外湯の鍵は地元の人たちはみな持っていて,それぞれに入りに行くらしい。昔は鍵などはなかったし,自由に入れたらしいが,たちの悪い温泉客がいて,ビールビンを割って湯船につっこんでけが人を出したりして,結局は鍵をかけて管理をするようにしたらしい。どこにでも困った日本人はいるものである。だから,宿泊客にしか鍵を貸し出さないらしい。
さて,ビールがどんどん進むので,やはりここはお品書きの一番最初にある「焼き鳥」(3本300円)も注文する。その際,もう一品,野菜不足のため「野菜炒め」(500円)も注文する。まずは野菜炒めが出てくるが,これまた美味い。しゃきしゃきでありながら,いい味を出している。
この店も外見は薄汚れているが,料理は美味い。細川たかしの「串政さんゑ」なんてな色紙もある。店主が奧で1人で料理をしている店である。ちょうど自分の席からはまな板が見えるのだが,先程来砂肝も,鶏も大きな固まりを切っては串に刺している。目の前にはビニールの袋に詰めたラーメンのスープ用の骨がどかんと置かれている。「ラーメンの出汁は一日置いて,次の日に再び火を入れたときが美味いんですよ」と店主が言う。ゴキブリ君が床を這っていたが,そんなことを気にしてはいけない。
途中で「もう残り少ないんですが。」と言って確かシシトウと玉ねぎの和え物を出してくれる。「辛いの大丈夫ですか?」と聞かれて,大丈夫と答えると,小皿におつまみが載る。
店主も最近の泊まり客は温泉に来ても外へ出て食べたりしないから,時代も変わったと嘆く。この間も4人できてラーメンの大盛りを1つ頼み,あとは水を飲み,大きな水のボトルが3本空になったと半分笑いながら言う。また,店の前で声がして,「ラーメンでも食べていくか」と誰かが言ったが,結局入らずに帰ってしまった。「部屋で飲もう」と話がまとまったらしい。最近の温泉客もコンビニでカップラーメンを買ってきて,それを部屋で食べるらしい,なんて話もしていた。渋温泉も,今9つの外湯巡りなんてものがあるから,自分もインターネットで検索してここへ来ようと思ったのだが,そんなことでもなかったら,温泉だけを目的にしてここへ来ないだろう。ほかを目的地にして,観光したあと,ここ渋温泉へは夕方着いて,単に旅館の中の温泉に浸かるだけで終わったかもしれない。やはり温泉街も,何かの目玉がないとダメである。しかし,少なくとも1泊2食付きだと,こんな外へ出て食事をする楽しみはないだろう。ということで,渋温泉の外湯巡りを楽しみ,なかなかいい時を過ごしたのだった。ちなみに,渋温泉の中にも由緒正しき立派な旅館が何軒かある。歴史的な建造物もある。もちろん自分の今日の1泊素泊まりの料金(3800円)の5倍から10倍は出さねばならない。
さて,結局この「串政」で大瓶4本をいただく。支払いは5600円だった。ただ予想より高く感じたが,それはビールがそもそも高いせいだろう。食べ物については,貼ってあるお品書きによると,300+500+500+300で1600円。これにつきだしがまあ1人300円としても計2200円。だから大瓶4本が3400円とはちと高い感じがした。大瓶1本800円あまりか。ビールが食事の2倍だ。居酒屋価格だと,ビールの大瓶はだいたい650円から700円である。まあ,それでも注文したものはすべて美味かったので,よしとしよう。とにかく食べるものがとっても美味しくて,安かったので,かえってビールが高く感じたのだ。おまけの渋温泉の話が聞けただけでも,ここへ来た甲斐があったというもんだ。まあしかし,宿泊費が1泊素泊まりで3800円なのだが,下手に旅館で食べて,1泊2食の料金を払うよりもずっと満足できるであろう夕食であった。
探検隊おまけの報告:
今回は特にありません。