満腹探検隊
満腹探検隊の探検先:草津温泉 ホテル櫻井(さくらい)

分類:和食 所在地:群馬県吾妻郡草津町 −−−お箸の仕切り線−−−
探検時期:2006年8月  今回の探検目的:宴会
今回のお品書き:和食いろいろ
今回の所要経費:1泊2食19050円,そのほか入湯税と酒代
探検隊の報告:
 草津温泉に来た。
 ここ草津に泊まるのも何回目かである。
 いつもは家族で来ていて,しかも経費節減のため民宿やペンションに泊まるのであるが,何しろここ草津は温泉がいいので,どこに泊まっても,特に不満はなかった。
 だいたいが,これまでは料理や部屋にあれこれ文句を言うほどお金も出してないし,しかもその内容には特にこだわらない一家なのであった。
 無料の温泉を巡るのも楽しいし,ここに来るまでにいろいろと見どころもある,だから草津って何回来てもいいよなあと言っていたのである。

 さて,今回はお金を積み立てて職員旅行で来た。
 そして,結構いいホテルと評判らしいところに泊まったのだが,結局確認したのは地元金沢の近郷近在の温泉のもてなしのよさであった。
 もてなしと言うよりも,その心意気というべきだろうか。
 年に1回は忘年会あるいは新年会で温泉にいくのだが,ここ「櫻井」も施設は素晴らしい。
 建物は立派だし,温泉はもちろん草津温泉であり素晴らしい。内装もきれいだし,大きな宴会場やショーのできる広間もあれば,カラオケ,スナック,軽食の店も館内にある。
 これくらいなら,金沢の近郷近在の温泉,すなわち加賀温泉郷の山中山代粟津片山津それに和倉温泉にもここと遜色ないところがたくさんあるが,いずれにせよここ「ホテル櫻井」はこの草津では大きな旅館なのである。
 ただ,期待したのはもてなしだったのだ。
 金沢の近郷近在の和倉温泉の「加賀屋」は「プロが選ぶ日本のホテル旅館100選」で,ほぼ毎年総合1位なのだが,ここ「ホテル櫻井」は総合4位だったので,どれくらいの差があるのだろうと期待して来たのだった。いや,どれくらいの差と言うより,1位と4位だから,きっと張り合う位なのだろうなと期待して来たのだった。
 だけど,へえ,こんなので4位なのかと思ったので,思ったことを書こう。(ちなみに,去年は岳温泉の「陽日の郷あづま館」に泊まったが,ここは60位だった。60位くらいだと,そう比べようとも思わないのだが,なにしろ4位なものだから,つい比べてしまうのだった。)
 地元金沢の近郷近在の温泉ではこれくらい普通なのになあと思うことで,ここ「ホテル櫻井」にはなかったことである。

1.仲居さんが我々を部屋に案内した後,部屋に座って「今日はようこそ。」と挨拶しない。
(たかが挨拶と思うかもしれないが,何事も第一印象が大切である。)

2.しかも,立ったままでいろいろな説明をした。
(座らないのだから,立ったままである。みんなも立ったままで話を聞く。
「お疲れでしょうから,まずはお座りください。」
 なんてことも言わない。非常口については後で幹事にだけ言ったそうである。)

3.お茶も入れてくれない。
(まあ,立ったままなのだから,当然お茶も入れてくれない。
「どちらからいらっしゃいましたか。」
 などと,世間話をしながら,ついでに,
「金沢からだとどのくらいかかりましたか。」
 などとここで,お茶を入れながら,お茶菓子を差し出しながら,少ししゃべっていくことで,ここの旅館にちょっといい印象を持ち,このあとの宴会に期待したりもするのだが,とにかく世間話をすることもないのだった。)

4.浴衣の大きさについて確認しない。
(浴衣はいろいろな大きさのものが人数の3倍くらいの数が置いてあって,各自が選ぶということで,このような方式は初めてだった。しかし,特大が1つしか置いてなかった。我々一行は特大が4つは必要だった。温泉旅館とくれば浴衣!なのに,全員の浴衣の大きさがあっているかどうか,足りているかどうか,その確認がない。
 ちなみに「加賀屋」では最初に部屋に浴衣がない。なぜなら,お客が来たらその身長を判断して仲居さんが「あなたは『大』でよろしいでしょうかね。」と確認して,それから持ってきてくれるのだ。ばらばらにやってくる客にも一人一人に対応してくれる。)

5.我々一行13人に仲居さんが1人だった。
(まあ,経費節減なので仕方ないのだろうが,夜の宴会でも中座する場面が多く,複数人で対応していないので,お酒がなくなると,結局幹事が立って裏までお酒の注文をしにいかなくてはならないのだった。
 それである時はほかの団体担当の人がビールを持ってきてくれた。
 我々についている仲居さんはそもそもかけ持ちなのか。いったいどれだけ経費節減したら気が済むんだ!状態である。
 しかも朝食はバイキングで,部屋食じゃないので,仲居さんは必要なく,このホテルってかなりの経費(人件費)節減をしているなあと思ったものだった。地元金沢近郷近在ではこの人数で仲居さんが一人ということはないだろう。まあ,贅沢なものだが……。でもこれだけのお金出して,夜も一人だけ,朝は誰もつかないなんてことは決してない。)

6.女将が朝,バスで帰ろうとしているときにバスの車中に挨拶に来た。
(普通は夜の宴会場へ挨拶に来るものと思っていたし,夜来なかったので,このあたりの草津の旅館は,そういう挨拶をするという習慣はないんだなと思っていたら,朝の帰りぎわの挨拶だった。挨拶はとにかく早めにだと思うのだが……。
 まあ,女将の挨拶は儀礼的なもので,あってもなくてもどちらでもいいが,おそらく我々は某大手代理店を通し,結構いいお客のはずである。それは驕りかもしれないが,金沢近郷近在の温泉で,いつも女将の挨拶を見ている者としては,「挨拶ってのはないんだ。」と思ったのだった。)

晩ご飯 7.料理が始めからほとんど載って出ている。そして,大味だった。
(通常は料理の味には何も言わないのだが,どうも加賀料理の繊細さから言うと,やや大味だった。すき焼きと,アワビの蒸し焼きで,どちらも食材は金がかかっているのだろうが,いずれも固形燃料にパチンと火がつけられて,その場で出来上がりを待つという,ちょっと色気のない料理だった。料理に色気もへったくれもないが……。たとえばできた料理を順番に運んでくる,できたての温かい料理が運ばれてくる,などという温泉での宴会に何度も遭遇している方からすれば,いかに金沢の料理がうまいか,あるいは味にこだわりがあるかってことである。
 左の写真が最初の状態だが,なにしろ,刺身も初めから載っている。あとから出されるものはごはんくらいである。
 それと,最後のご飯のみそ汁というか,ほうとうらしきものがまったくダメ。何でこんなにぬるいものを持ってくるのかと思った。できてから何分経ったのだろうか,どれだけほうっておかれたのだろうかと思うぬるさだったのだ。きっと,我々が宴会で盛り上がり,これくらいの時間で出せばいいだろうと考えて,とっくに準備されていたものを出しそびれ,裏にほっておいたのだろう。伸びたうどんとぬるいおつゆをいただいたのだった。つまりは仲居さんと調理場との連携がまったく行われていないことを伺わせる状況である。いや,これを持ってきたときの仲居さんの表情は「いつまでダラダラと宴会やってんだよ。早く終われよ。」って感じだったねえ。
 こんな状況に笑顔で対応する金沢の温泉宴会を当たり前のようにやって来た身からすると,「何贅沢言ってんだよ。労働者の勤務時間を考えないのかよ。」と言われそうだが,それは「金沢の常識,世間の非常識」ってことなのか。)

  8.お猪口がプラスチック製だった。おまけに熱燗がガラスの酒の容器をそのまま温めたものだった。
(この水準の旅館でお猪口がプラスチック製はないだろうと思ったが,給食のお皿みたいなポリカーボネイトだか,なんだか,とにかく裏に製造会社の登録商標入りの容器だった。これで,大きめのぐい呑みくださいと言っても出てこないだろうなあ。こんなものくらい陶器製にしてほしい。もうちょっと情緒のあるものにしてほしい。それと,熱燗として出てきたのがホテルの宴会場なんかでよくある緑色のガラスの1合瓶をそのまま温めて熱燗で出てくるやつだった。これも色気がないなあ。陶器のお銚子ってのはないのかね。課長は日本酒好きなのだが,この熱燗ちょっとぬるいと言うと,仲居さんからは「じゃ,もう一度温めてきますか」との返事。ぬるくなった熱燗を再度温めるなんて,普通はせんよ。アルコール分を飛ばす気か?いや,そもそも熱燗とはどれくらいの温度かもわからない旅館か。)

 最後に,玄関付近に「アンケート投入箱」があったのだが,このような意見は取り入れられるのだろうか?まあ,何も書いて入れてこなかったので,やはり書いて入れてくるべきだったのだろうか。
 なんにせよ,これだと,1位「加賀屋」と4位「ホテル櫻井」の間には,金沢の近郷近在にあるもっともっとたくさんの旅館が,順位2位や3位に入ると思ったものである。考えてみれば,自分たちにとって当たり前と思うことも,どうも人にとっては違うということも確認した。普段よく行く加賀温泉郷も和倉温泉も,自分たちにとっては,さまざまなもてなしをあたり前と思っていたが,これは結構すごいんだということを思って,我が故郷を自慢したく思ったものである。
 また逆に,あまりにも自分の身の回りのことを当たり前と思っていると,少し水準が低いだけで,なんだこれはと思ってしまうのは,あまりよくないのかもしれないと,ちょっとだけ謙虚に思ったのであった。(おじさんは謙虚でなくてはいけない。)
 それと,素朴に思うのは「プロが選ぶ日本のホテル旅館100選」の選定基準とはいったい何なのかということである。どういう項目で,どう判断しているのか,ここが4位だとすると,いったいどういう評価基準なのか,とても疑問なのだった。
 審査員は審査員とわからないようにお忍びで来ているはずで,そうでなければ客観的な評価なんてできないはずだが,審査員とバレて,厚遇を受けてしまった,なんてことはないだろうね。いや,審査員は少人数で来て,そもそも我々のように長時間の宴会を繰り広げるなんてことをしなかったのか。そうなると,我々の料理に対する評価基準がおかしいのか。いや,評価は料理だけでしていない。やはり,評価基準がよくわからないと思う。
 しかし,大切なのは人材育成である。もてなしの心を育てることである。前に「加賀屋」の人材育成担当の部長さんの講演を聞いたことがあったが,本当に社員(すなわち仲居さんを始めとするお客に接する人や,裏で働く調理人などすべて)に対する教育を徹底している。さもありなんと思ったものであった。
 ということなのだが,まあ,温泉がよかったからよしとしよう。
 自然湧出量日本一,源泉かけ流し,あのちょっと硫黄臭いお湯,湯畑,いかにも温泉の風情。それに気の合う仲間達と,楽しく宴会もできたし……
 草津の温泉に浸かると,すべてを忘れることができるから……

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探検隊おまけの報告:
 
当ウェブサイトの中で,比較するとすれば,こちらへ。
金沢の奥座敷 湯涌温泉 さかえや

そのほかくわしくはウェブサイトへどうぞ
湯Love草津(草津温泉公式サイト)
草津温泉 ホテル櫻井のウェブサイト
金沢の近郷近在の温泉のウェブサイト
加賀温泉郷 山中温泉山代温泉粟津温泉片山津温泉
金沢温泉郷湯涌温泉
能登半島 和倉温泉

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