分類:和食
所在地:長野県松本市中央(松本駅近く)
探検時期:2010年9月
今回の探検目的:宴会
今回のお品書き:甲州鳥もつ煮+生ビール2杯
今回の所要経費:420円+100円×2
探検隊の報告:
1次会を「駅前昭和横丁 夢屋」ですませ,「このあたりに,まだちょっといい店がありそうなので,あと1,2軒行きますか。」と「酒場放浪記」の吉田類みたいなことを言いながら,松本駅の方へと歩く。そして,店の看板を見て,すぐに立ち止まる。何のことはない,「駅前昭和横丁」の隣のビルである。「19時まで生ビール100円」の文字が目に入る。なに!1杯100円!しまった,歩いてくる道が逆だった。こちらから歩いてくれば,まずはここに来たのに,と思ったが,まあいいや,じゃ2次会はここ,とこのビルの2階の「どまんなか」へとやって来る。
「一人。」と言うと,8席ほどあるカウンターの空いたところに通される。そして注文はもちろん「生ビール」である。生ビールを飲みながら,じゃ何を食べようかと思ってお品書きを眺める。ここはお通しが出ない。その分お金も取らない。合理的である。目の前のショーケースには串が並ぶ。先ほど「夢屋」で串を食べたばかりなので,何にしようかと前を見ると,小さな黒板に「甲州鳥もつ煮」とだけ書いてある。ここまで今年の夏は「牛もつ煮」「豚もつ煮」「馬もつ煮」と食べてきたが,「鳥もつ煮」なんてのは久しぶりである。そこで「鳥もつ煮」を注文する。ちなみに,「信州」にいるのだが「甲州」である。
しかし,出てきたこの「鳥もつ煮」420円ではあるが,たっぷり量がある。レバー,ハツ,砂肝,玉子(キンカン),そして,あと一つは何だろう。そういえば昔よく自宅で「鳥もつ煮」を食べたことを思い出す。小さい頃は牛肉なんて贅沢品で,年に一回すき焼きが食べられたら,それは超豪華料理であった。じゃ,豚肉はというとこれまた年に数回のトンカツが豪華料理であったし,カレーには豚肉だった。(ビーフカレーなんてあり得ない。)しかも,鶏肉にしても手羽から揚げなんてのがたまに食べられると,それは幸せなのだった。そして,鳥もつが時々食卓に供されて,兄弟でそこに入っている玉子の取り合いになるのだった。うちの味付けは甘みが少なく,どちらかというと醤油味で,ネギが入っていて,汁気があったが,ここはちょっと甘辛く煮てあるし,水分が少ない。これを「甲州鳥もつ煮」というのか。こんな鳥もつがごちそうだったのだから,昔の子ども(つまり自分)は幸せだった。いまどきの子どもは牛肉を食べて当たり前で,食べられたとしても,当たり前としか思わず,きっと幸せとは思うまい。豊かな国の貧しい心であるなあ。
さて,翌日山梨県へと行ったのだが(昇仙峡「橋本屋」のページ参照),そこでこの「甲州鳥もつ煮」(あるいは「甲府鳥もつ煮」)が今年のB級グルメグランプリであったと書かれていた。山梨でもあちこちで「鳥もつ煮」の幟旗を見たが,甲州の名物らしい。つまり,水分が少なく,甘辛く煮るのが「甲州流」らしいと知ったのだった。そうとも知らずに注文した「甲州鳥もつ煮」であったが,これで生ビール2杯飲んだ。もう1杯いけそうな量だったのだが,2次会ということもあり,おなかいっぱいになってきて,ビールはやめた。「甲州鳥もつ煮」はなかなか美味いということを知った。
この店,お通しもなく,席料もなく,注文したもののみの代金である。「甲州鳥もつ煮」420円也,生ビール100円也の2杯,計620円を払って店を出た。なんて良心的なんだ,と松本の夜に満足してホテルに戻ったのだった。
探検隊おまけの報告:今回は特にありません。