分類:和食
所在地:金沢市本町(金沢駅前)
探検時期:2011年2月
今回の探検目的:宴会
今回のお品書き:会席料理のコースに飲み放題付き
今回の所要経費:12000円
探検隊の報告:
今夜は我々の会の今年度の解散会である。とはいえ異動も発表されてはおらず,要するによくわからないけど日がとれないので,2月の下旬にやりましょうということで,催されたのであった。
会場はここ「料理旅館 金沢茶屋」。金沢駅前である。いつの間にこのような店ができていたのかは知らない。しかし,もともとはここは料理旅館であったが,和倉温泉の加賀屋が経営に乗り出し,「金沢茶屋」となったらしい。
いかにも和風の作りの建物で,ここで宴会するとお風呂に入ることもできるらしい。
さて,今日のコースは幹事がどのように頼んだのかは定かではないが,飲み放題の2000円増しの合計12000円の会席料理である。かなり奮発している。というのもこのために昨年4月より積み立ててあったものである。しっかりとお品書きまでつく,立派な会席料理である。
座敷はこの料理旅館の中でも一番大きい部屋だが,それを1対2くらいに仕切ってある方の大きい方である。小さい方でも宴会が行われている。我々20数名だが,コの字型にお膳が並ぶ。
以下はお品書きとともに紹介しよう。
食前酒は「柚子蜂蜜酒」。まずはこれで乾杯である。
先附は「自家製胡麻豆腐」。しかし,このお品書きの字体,本当に「先附」が「光附」のように読める。「奥伊根温泉 油屋」のページでも書いたけど,これを読み間違っても不思議じゃないような感じである。
前菜である。いろいろ載っている。「福豆旨煮」「小鰯梅煮」「蛤香草焼き」「菜の花サーモン巻き」「新じゃが明太子ソース」「蚕豆艶煮」と記載されている。
「福豆」とはなんだろうと調べてみると,「節分にまく炒り豆」とある。つまり大豆か?まあ縁起のいい名前で表示してあるってことなのかな。それにしてもそもそも「福豆」なんて表現を知らなかった。人生いつまでもお勉強である。
ついでながら「蚕豆」とは「そらまめ」である。「空豆」はお馴染みだが,これまた「蚕豆」なんて表記をするとは知らなかった。そして,その命名の由来が「蚕を飼う初夏に食べ,さやの形が蚕に似ていることから「蚕豆」という字があてられた」(ウィキペディア)とあるが,このような由来も知らなかった。人生いつまでもお勉強である。
ちなみに「梅煮」とは梅干しと一緒に煮たものである。これはだいたい想像がつく。やはり梅干しと煮ることで,魚の臭みをとるのだろうな。
お造りである。「造里」と表現されている。「新春の鮮 四種盛り 妻一式」とある。「ツマ」は「妻」と書くのか?うーん,これまた見かける表現のような気もするが,じっくりとこうやって考えたことはない。日本料理とは言いながら,はたして日本人は知っているのだろうか?と思ってしまう。なにしろいい年のおじさんの自分が知らないくらいだから。単に自分が無知なだけか?
「台物」で「蒸しずわい蟹 酢橘」とある。これがまた優れものである。隣の小さな器に水のようなものが入っていて,これは何だろうと隣の会員とともに話をしていた。匂いをかいで,どうも無臭のようだから水かな,などと言っていたのだが,これが台物であるところのこの器の中に注がれると,化学反応で発熱する。底に入っているのは生石灰か?詳しくは中をのぞいてみていないので,わからないが,湯気が出てくるくらいに熱くなっている。そして,カニが蒸されて,十分温かくなって出来上がってくる。このような方法は初めてであった。
ちなみに,隣に写っているのは「お椀」である。「白魚真丈 たらの芽,白髪独活」。それにしても「しんじょう」は「真丈」と変換されない。「真蒸」とか「真薯」という表記は時々見かけるのだが,「真丈」というのは初めて見たような気がする。確かに料理は「しんじょう」(あるいは「しんじょ」)である。ついでに春の山菜のたらの芽や独活(ウド)なんかが使われている。まだまだ金沢で採れるのは先だが,春だなあという気分である。
「焼き物」である。「牛ひれステーキ 白山堅豆腐 山菜 紅葉おろし酢」とある。魚に肉にと,和食のフルコースである。
この会しっかりと仲居さんがついているので,よくビールを注いでくれる。小さなグラスなのだが,お互いに注ぎ合うことはほとんどなく,頻繁にやって来る仲居さんが結構気がついて注いでくれる。飲み放題ではあるが,ビールばかりである。一応幹事の端くれなんだが,副幹事なので会場設定をはじめとして何から何までお任せである。なんて気楽な副幹事。
「煮物」である。「炊き合わせ 鯛真子時雨煮 新筍 新蕗 かぶら 木の芽」とある。牛肉の時雨煮は時々いただくが,「鯛真子時雨煮」というのは初めてかもしれない。
「酢肴」とある。これまたその名の通り酢につけた肴なのだが,要するに酢の物。「酢の物」と言わず「酢肴」と表現するところが,またいいのか。「なまこ酢 金時草 蛇腹胡瓜 菊花 もって菊」とある。「もって菊」とはウィキペディアによれば「明るい赤紫色の中輪種。八重咲き。山形の特産品で,酢の物などの料理に使われる。」とある。食用菊の品種の一つで「もってのほか」というらしい。これまた,この菊を「もって菊」などと呼ぶことを知らなかった。今回はお勉強ばかりしている。
このなまこ,思いの外柔らかい。いつもなまこ酢はかなりこりこりと歯ごたえがあるのだが,このなまこ酢なぜか柔らかい。平均年齢の高い我々への配慮か?
さて,締めに「食事」である。「うすい豆ご飯 みそ汁 香の物」とある。ここまできてまたもやお勉強である。「うすい豆」とはえんどう豆の一種らしい。春の旬野菜として関西では親しまれてる食材で,特に和歌山県の特産品であるらしい。主に関西地方で出回るという。しかもこのうすい豆ご飯は関西ではよく作られるものだとか。そうだったのか。食材もあなどることはできない。これほどまでに食べるものについて調べた満腹探検隊の宴会の報告もない。だが,食べるときにはそんなことも知らず,ほほう,えんどうご飯かなどと思って食べただけなのだった。
最後にデザートである。「水物」として「季節物」と書いてあるが,イチゴにメロンに伊予柑か何かの柑橘類である。最後の締めに果物も美味い。
こうやって我々の会は過ぎていく。いいお値段の会席料理ではあったが,値段相応の内容である。飲み放題であり,結構飲んだが,これもまたよかった。特に幹事にとってははじめから飲み放題の方が何かとやりやすい。ということで,最後に万歳三唱の中締めがあり,二次会へと向かったのだった。
探検時期:2013年2月
今回の探検目的:宴会
今回のお品書き:会席料理のコースに飲み放題付き
今回の所要経費:14500円
探検隊の報告:
2月も下旬である。我々の同業者の会の慰労会兼解散会である。年度末と言うにはちょっと早いのだが,2月に行う。2年前にもここで行った。会場は金沢駅前のこの「金沢茶屋」。畳の部屋にテーブルと椅子である。最初の挨拶で,当会の副会長が言っていたように「幕末の宴会」といった風情である。
さて,今回もお品書きがあったので,その記述にしたがって,紹介しよう。ちなみに,4月から積み立ててあって,いいお値段の豪華解散会である。
まずはこれが最初の状態。漆塗りの素敵なお膳に,食べてちょうだいな,と料理が載る。お品書きの最初の3つ「薬酒」,「箸染」,「前菜」である。
「薬酒」として「梅酒」
乾杯は白い杯の「梅酒」。「薬酒」ということであるが,「酒は百薬の長」ということであろうか。
「箸染」として「荒磯酢
蛍烏賊 赤西貝 子持昆布 中島菜」
「箸染」という言い方は初めて聞いた。まあ,人生50年,いやもっとだが,知らないことも多いものである。要するに「先付」ってことですね。箸を染めるのだからきっとそうなのかな,とは思ったが。
(ちょっとアップで撮影)
「荒磯酢」と書いて,一段落とって「蛍烏賊 赤西貝 子持昆布 中島菜」と記述してある。つまり,酢の物の中身がこの四品であることを示している。で「荒磯酢」とはどういう意味だろう。やはり,海の幸をふんだんに取り入れているということか。烏賊に貝に昆布である。それとも見た目に荒磯の風情か。
「中島菜」は石川県は能登の伝統野菜。今では中島町は市町村合併でなくなってしまい,七尾市の一部となってしまったが,そのあたりでとれる菜っ葉。
「前菜」として「能登なまこ茶振り 梅貝蕗味噌 鱒香草オイル焼 加賀野菜カステラ 酢茗荷 菜花 空豆蜜煮 黒豆」
「前菜」なども凝っている。八品が載っているわけで,いわば「八寸」のように,海の物,山の物と色とりどりである。
「差味」として「旬盛り彩々」
あとで振り返ってお品書きを読んで,「差味」って何だったんだろうと思ったら,これを「さしみ」と読めばいいのだと気がついた。このような字を当てるのは初めて見た。よくある当て字なのだろうか?自分ならば「旬盛り彩々」に合わせて「彩色味」とか,やっぱり酒飲みだから「洒染」とか,真心込めた感じで「咲心味」なんて当て字もいいかと思うがいかがでしょう。
しかし,乾杯のあとはビールだったが,そのあとすぐに日本酒に変更する者もいて,やっぱり「酒」が「染みる」のであった。
左:「椀物」として「蟹と金沢自然薯のふかし 板蕨 柚子」
右:「煮物」として「加賀伝承料理 鴨治部煮」
久しぶりの加賀の伝統料理の治部煮である。こうやって料理屋に来ないと食べない郷土料理である。
「台物」として「ずわい蟹」
今シーズン2回目のずわい蟹である。先月の「まさみ」では豪華1パイ盛りで手を汚しながらいただいたが,今回はきれいに切ってあるので,蟹スプーンで身がきれいに出せる。
最初に用意してあったお盆の上に載る。これが「台物」という意味であろうか。
左:「肉料理」として「黒毛和牛ステーキ 帆立 舞茸 ブロッコリー」
右:「酢肴」として「春の息吹サラダ 石川わさび菜」
右にある小さな器にドレッシングが入っている。これをサラダにさらっとかけていただく。
「食事」として「筍ご飯 味噌汁 香物」
いよいよ宴会も終わりに近づいて,食事である。これまですべて食べ尽くし,今日はご飯もいただく。まだまだ季節には早いと思うが,すでに「筍ご飯」である。暖かい地方ではもう採れているのだろう。
「甘味」として「白雪寄せ 杏仁 苺 マンゴー」
最後には甘いデザートである。「白雪寄せ」とはつまりは白かったらこう呼ぶのか。雪のような感じになっていたら「白雪寄せ」なのだろうか。
しかし,知人たちと語らい,今夜も美味しい料理をいただいた。美味しいお酒を飲みながら,完食である。
さて,このあとの年度末の異動で,はたしてみんなはどこへ行くのだろうか。
動こうが,動くまいが,立場が変わろうが,変わるまいが,自分のモットーは「置かれた場所で咲きなさい」。これしかない。
探検時期:2015年2月
今回の探検目的:宴会
今回のお品書き:会席料理のコースに飲み放題付き
今回の所要経費:はていくらだったのやら
探検隊の報告:
2月も下旬である。我々の同業者の会の慰労会兼解散会である。年度末と言うにはちょっと早いのだが,2月に行う。2年前にもここで行った。そして4年前にもここで行った。要するにこの会の解散会はいつもここである。いつもと言いながら,1年前と3年前はどうなんだとつっこむあなたは鋭い。1年前と3年前はのっぴきならぬ事情で中止になったのだった。
さて,始まりはこんな感じである。今年度は自分はこの会の副会長となり,上座にいるのである。なのでかどうかはわからないが,あまりにきれいなお膳に天井の蛍光灯が素晴らしく反射する席である。
今回もお品書きがついていたので,それを書き写しつつとりとめのないことを書いておこう。
「先附」として「かに味噌豆腐」。小さな豆腐だが,かに味噌のいい香りと味がする。
右の漆塗りの器は乾杯用のお酒。今回は果実酒かと思ったら,単に日本酒だった。
こちら「前菜」。七品が載るがすべてに上品。
中央が「蛤タルタル焼き」
その下が「空豆蜜煮」
以下右回りに「菱餅かるかん」
「蛍烏賊酢味噌」
「筍木の芽和え」
「サーモン寿し」
「かぶら寿し」
「造里」ということでお刺身。
「春霞の鮮 四種盛り 妻一式」とまあ,洒落た命名。
ブリ,マグロ,甘えび,鯛といったところか。
妻一式だが,黄色の蝶々型の人参が素敵。特別な黄色い人参だそうな。
左「焼物」。「ぶり幽庵焼き」
右「煮物」。「穴子馬鈴薯饅頭」
左「肉物」。「牛ほほ肉黒酢ソース掛け」
右「酢肴」。「能登なまこ 叩き長芋」
途中から日本酒にする。冷酒である。
右に座る会長は今年で退職である。本当にいろいろとお世話になった。彼は日本酒が大好きである。しかも,よく飲んで肴はあまり食べない。いつも横に座ると「ちゃんと食べながら飲まなきゃダメだよ。」と言うのだが,この食べ方,飲み方の割にはいたって健康である。
途中で退職のお祝いの品の贈呈式がある。副会長として,自分が贈呈するのだった。
左「食事」。「豆ご飯 赤だし 香物」。
しっかりとすべていただく。
最後に「水物」。「杏仁豆腐」。今夜はすべていただくということで,少々甘めだったが全部食べた。
いやはや,いつもここの料理は美味しい。
ということで,一次会の料理に満足して,みんなで二次会へと向かったのだった。
探検隊おまけの報告:
くわしくはウェブサイトへどうぞ:金沢茶屋のウェブサイト